「オリンピック中止」を小池知事が言いだす日は来るか?

東京オリンピック開催に反対する世論が強まっています。世論調査によれば、中止あるいは再延期すべきとの意見が70%を超えているそうです。

小池都知事 NHKより

緊急事態宣言などの自粛を強要され、一方で東京オリンピック・パラリンピック開催のためには、あらゆる手段を講じる。この状況に嫌気がさしている人が圧倒的なのです。

そんな中、東京都の小池知事が「東京オリンピック中止」を言い出すのではないかと憶測する人がいます。私も、あり得ない話では無いと感じています。

新型コロナウィルス感染拡大が収束せず、首都圏の自粛要請が長期化することになれば、さらに国民の不満は高まっていきます。

そもそも、東京都知事にはオリンピックの開催を中止する権限はありませんから、中止を言いだしても、1人の政治家の個人的な意見として責任を負う必要はありません。

もし、このまま開催されれば、淡々とオリンピックを終わらせれば良いのです。逆に、その発言がトリガーとなって中止あるいは再延期になれば、小池知事の世論の支持は熱狂的に高まるはずです。つまり「負けない戦略」なのです。

来月にはIOCのバッハ会長の来日が予定されています。その前後が、ワイルドカードを切り出す絶妙のタイミングです。

大きな支持を集めた流れで国政に打って出る。そこまでのシナリオまで考えている人もいます。

もはや、スポーツの祭典ではなく、政治の駆け引きと、企業の広告宣伝のマーケティングのツールになってしまったオリンピック・パラリンピック。

「オリンピックファースト」のために犠牲を強いられている国民も迷惑ですが、何より大会に向けて懸命に努力を続けてきたアスリートの人たちにとっては、不確定要素が多すぎる中での調整が強いられます。本当に災難としか言いようがありません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年4月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。