「頭が悪い印象を与える5つの話し方の特徴」が秀逸

黒坂岳央(くろさか たけを)です。

Quoraのこのページで仕事で医療相談をしている人物が、相談経験を経て導き出した「頭が悪いと感じてしまう、話が通じない人の特徴5つ」をまとめている。お断りしておくが、筆者は誰かを下に見て、悦に入る趣味はない。また、今回の話はあくまで「頭が悪い印象を与える」ものであり、本当に知能指数が低いかどうかを問題としてない。

そしてこの指摘は実に的を得ており、現実的にこういう話し方をする人は確かに存在する。さらに話し方を反面教師にすることで、逆の印象を与えることができる「有益な主張」に感じた。話し方は技術で治療できるものであるため、ノウハウとして意識することでコミュニケーション力を高める事ができるだろう。

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また、本稿はあくまで「コミュニケーションの目的が、問題解決や情報交換であるケース」を想定して書かれている。そのため、「すべての人がコミュニケーションに対して、問題解決を求めているわけではない!」とか「ただただ話をするだけで満足するケースもある」などの反論は、本稿の趣旨から外れるもので、議論の収拾がつかなくなるリスクをあらかじめ記録しておく。

私見を交え、1つずつ取り上げたい。

1. 会話の中で唐突に固有名詞が頻出する

同氏によると「頭の悪い印象を与える相談者ほど、本筋の話と関係のない固有名詞が頻出させる」という。

近所に住んでいる特定の人物の問題行動に悩まされる解決法を相談しているのに、「そういえば、職場のAさんという人も似たような気質がある」などの話があげられるだろう。相談を受ける側としては、問題解決という「解」を出力しなければならない立場にあるため、重要性や関連性の小さい情報が提供されると、情報処理をする脳内処理に強い負荷がかかってしまう。

聞いている相手に余計な負荷を与えないためには、本筋とは関係性の薄い話はするべきではない。この辺りの情報の取捨選択をする采配は、常に話者の裁量に委ねられている。概ね、情報は少し不足しているくらいで良いだろう。なぜなら聴者は「不足している情報がある」と感じたら、追加質問をすれば話は即座に軌道修正されるからだ。

2. 常に時系列でしか話せない

また、「常に時系列でしか話せない」と問題が生じる。

なぜなら「最初に○○をして、それから次に…」と日記調に話されてしまうと、最後まで話を聞くのに大変な時間を要することになるからだ。また、真剣に話を聞く聴者ほど、多大なる集中力を要し、それを削り取られることになる。話が本題の佳境に入る頃には、集中力はとっくに枯渇してしまうだろう。「この話の問題点は?提案できる解決法は?」とマインドシェアを確保しながら、課題や解決を模索するため、我慢強く相手の話を最後まで聞くことはとてつもない徒労を伴う。

聞いている相手を消耗させないためには、話は時系列順ではなく、結論と課題から話し重要度の高い情報に並べるべきだろう。

3. 質問には決して答えない

コミュニケーションの本質は、会話のキャッチボールであることだ。質問者の課題を探り、解決策を提示する関係性にある場合においては、「聞かれたことにストレートに答える」ということが極めて肝要だ。

しかし、同氏は「こちらが質問をすると、そこから新たな着想を得て、次々と新しい問題提起が始まる。質問には決して答えない」という。こうなってしまうと話し合いをしている問題が解決しないまま、新しい問題が次々と生まれることになり一向に話が進まない。もとい、話せば話すほど問題が増えてしまい、収拾がつかなくなる地獄のループが始まってしまう。

解決を目的とした話し合いの場合は、聞かれたことに答えなければ話は永遠に歩留まりしたままだ。「相手は何を聞いているのか?」という傾聴の姿勢を忘れてはならない。

4. 問題を次々と思いつく

ある問題について相談をしている途中で、新たな問題を提示する。

健康の悩み相談をしていたと思えば、「職場のAさんも態度が悪く、それもストレスの原因かもしれない。Aさんはこんな人で…」とか「そもそも、国の補償制度がないのは、国民の気持ちがわかっていないからだ」などである。

こうした場合、相談する側には問題を解決するという場にいながら、ソリューションを模索する意欲が希薄である。端から解決を諦めており、日常の鬱憤晴らしに終止してしまいがちだ。「なんとかして相手の問題を解決して、気持ちを楽にしてあげたい」と思う聴者に、絶大なるストレスを与える効果があるだろう。

5. すべての問題を一挙解決したい

問題には、解決可能なものと不可能なものに分かれる。まずは課題を正確に把握し、問題を切り分けて解決可能なものについて、現実的なソリューションの提示をするのが相談を受ける側のミッションである。だが、問題の切り分けが実現する前に、議論のテーブル上にあるすべての問題を一挙解決する策を求める人がいるという。

イメージとしては、「…(長々とたくさんの不満を話した後)先生、どうかこんなに苦しんでいる私の人生を救って下さい!」のようなものだろう。現代社会に魔法は存在しないと理解する必要がある。

筆者も過去に似たような経験をしたことがある。延々と続く長い話の中で、重要と思われる少ないキーワードを脳内で組み立て、相手の心情に共感を示しつつ、問題の解決へとリードしようと試み、現実的な解決法を示した。だが、まるで魔法のような非現実的な解決法を求める相手に対して、筆者の提案した現実的な話は気に入らなかったようで、感謝どころか不満げに話を終わらせられ、大変疲弊した。今回紹介をした5つの特徴を踏襲しないよう、意識するだけで会話は随分スムーズになるのではないだろうか。もっとも、そのような特徴を持つ人物は、ここまで文章は読んでいないだろうが。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。