8月26日、日本の厚生労働省は米国モデルナ社のコロナワクチンに異物の混入が検出されたことを明らかにした。その異物は3つの製造ロットに見つかったとして、それに相当する163 万回分の接種を見合わせるように全国に呼び掛けた。
実はこの3つのロットはスペインのロビ(Rovi)社で製造されたものだったことが判明して、同社の同日午前中(日本との時差7時間)の株価は前日の終値から10%の減少を見せて57.07ユーロ(6850円)まで下落した。(8月26日付「El Confidencial」から引用)。
製造されたのはロビ社がマドリード州のサン・セバスチアン・デ・ロス・レイエス市にある工場だということがスペイン医薬品医療機器機構(Aemps)によって明らかにされている。
ロビ社では、混入物はその製造ロットから判断して生産ラインの一つで発生したものだと見ている。その影響で調査結果が判明するまで同社では生産をストップさせているが、先月も韓国向けなど一部の国への供給を一時的に中断せねばならなかったということで二重の損失に繋がっている。
ロビ社がモデルナのワクチンの生産を開始したのは昨年7月のこと。今年1月からは米国以外の市場に輸出を開始している。
同社は年間で1億回分のモデルナのワクチンを生産することを目標とし、グラナダに原液を製造するプラントを設けた。そして、それをマドリードのサン・セバスチアン・デ・ロス・レイエスの工場で小瓶に充填して商品化させている。
ロビ社がモデルナのワクチンを生産することについてはスペイン政府からの支援もあった。というのも、スペイン政府は戦略的にスペイン国内でワクチンを生産する体制を確立させておく必要があるという考えているからである。スペインでは国産ワクチンとして3つのワクチンが研究開発されているが、その実用化には来年まで待たねばならない。そこでスペイン政府は製薬会社が国内で外国のワクチンを生産することに賛成していた。
実際ロビ社に先駆けてガリシアのセンダル社が、米国のノババックスのワクチン生産の為の契約を結んでいる。そしてカタルーニャのレイグ・ジョフレ社がジャンセンのワクチンの製造で契約を結んでいる。因みに、センダル社はロシアのスプートニクVのワクチンを生産できる契約を既に結んでいるが、EUでロシアのワクチンが公式には認可されていないので、同社はその生産に取り掛かっていない。(4月12日付「Cinco Días」から引用)。