9月15日に行われた衆議院厚生労働委員会における青山雅幸議員の審議をインターネット中継で見た。マスコミでは決して報じられない内容であるが、コロナ対策について明るい方向性を感じることができた。
青山議員は以前から科学的根拠をもとに質問をされており、いつも非常に価値のある審議が行われている。私は青山議員が質疑に経つ時には以前から毎回視聴していた。
今回重要だったのは、以下の答弁である。
尾身会長がはっきり「ゼロコロナを目指すことはできない」と対策を変えることに言及された。これは一切報道されていない。同じ委員会質疑でマスコミが伝えたのは、尾身氏の「ワクチン接種率が上がっても急に緩めるとリバウンドが来る」「社会の不安感がなくなるまでは2、3年程度はかかるのではないか」という回答だけである。
青山議員の前に行われた共産党の宮本徹議員の質疑では、「主たる感染原因を飛沫接触からエアロゾルに変える」ことを厚労省へ要求した。
宮本議員は以前から感染経路として空気感染(エアロゾル感染)を重視し、委員会でも言及されていた。今回も厚労省に対し、「主要な感染経路として飛沫接触ではなくエアロゾルだと指針を修正するべきだ」と質問したが、厚労省側からは従来の見解を変えるという回答は得られなかった。
新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
(令和3年9月10日版より)
問2 新型コロナウイルス感染症にはどのように感染しますか。
一般的には飛沫感染、接触感染で感染します。
実際の主要な感染経路が空気(エアロゾル)感染だという指摘は1年以上前からされていた。2021年春頃からこの主張が強くなり、私も2021年4月21日に以下のブログ記事で衆議院厚労委員会における議論をもとに意見を書いた。
アメリカの保健当局であるCDCは最新の知見を反映させて新型コロナに対する指針を頻繁に変更している。2021年5月7日の改訂でエアロゾル感染を感染経路のトップに持ってきた。
日本でも最近になって、専門家の間から「感染経路として空気感染と言い換える」ことを主張する声が大きくなってきた。
感染力高いコロナ 科学者有志「空気感染と言い換えを」(2021年9月15日付け日本経済新聞)
現状の日本のコロナ対策で最大の問題なのは、「専門家」が科学的知見によらず自らの思い込みで情報を発信し、それが政策に反映されていることである。「若者が高齢者にウイルスを移している。感染を広げているのは若者だ。」「飲食店が最大の鍵」「行動抑制で感染拡大は抑えられる」等々、科学的根拠がない「専門家」の思い込みをマスコミが大々的に報道し政策に反映させてきた。
最近風向きが変わってきたと感じるのは、今年のお盆以降人々の移動量が増えているにも関わらず感染が縮小していることに、多くの国民が疑問を持ち始めたことだ。それまで「人流と感染度に相関がある」と言っていた三浦瑠麗氏も考え方を変えている。
この日の衆議院厚労委員会での議論をふまえると、「主要な感染経路はエアロゾルだ」ということを厚労省が認めて、感染対策としてはエアロゾル対策に集中する方向に政策を切り替えることが重要である。これまで過度に飛沫接触感染防止に偏ったコロナ対策を切り替えられれば、国民生活は相当正常化できる。マスクを外しアクリル板などの飛沫よけを撤去し過度な消毒をやめれば、どれだけ通常の生活に戻れることか。精神的にも相当すっきりする。そもそもコロナによる悪影響は、現状だと精神的なことに起因することが大部分を占めているのだ。
尾身会長が一言「これからはエアロゾル対策を中心に行いましょう。とにかく換気に気をつけて下さい。あとは神経質になる必要はありません。何をやっても感染ゼロにはなりません。多少感染者が出てもそれを受け止められる医療体制を整備しますから、罹っても心配しないで下さい。」と言えば、コロナ騒動は一気に収束する。
そうなることを期待するのは正直難しいと思うので、私は国民一人一人がここに書いたような正しい認識を持つようにすることが重要だと考える。