SNSであえて「時差投稿です」と言い訳する理由

SNSでの配信は気がつかない間に、自分の個人情報を撒き散らし、リスクになっていることがあります。

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例えば、旅行に来ていることをリアルタイムにアップすれば、自宅が留守だということがわかってしまいます。戸建ての家に住んでいるように人は、家族旅行の写真をリアルタイムに載せるのは、泥棒さんに自ら情報提供するようなもので危険です。

そんなリスクを避けるためのアリバイ工作が、時差投稿です。旅行から帰ってきてから、時間をズラして写真をアップすれば、居場所を特定されるリスクが回避できるのです。

コロナ禍でも相変わらず旅行の写真や、レストランでの食事の写真、あるいは友達とのイベントの様子などをSNSにアップし「時差投稿です」とコメントを追加している人が目に付きます。

しかし、このような最近のSNS上での「時差投稿」コメントには、別の目的があります。

それは、新型コロナウィルス感染による自粛ムードが続いている中で、ゼロコロナを目指すような人たちからの批判を避けるためです。

最近の動きを見ると、新規要請者数の数は減り始め、医療機関のキャパシティーにも少し余裕が出てきているようです。

飲食店のアルコール提供の自粛が要請されていますが、東京ではアルコール提供を再開するお店が増えています。

また、以前は会食やイベントに否定的な人が多かったのも、風向きが変わってきています。

家族で旅行に出かける人も増え、都道府県をまたぐ不要不急の移動も、徐々に増えてきているように見えます。

そんな中でも、未だに日時をあいまいにすることで、世の中の自粛要請のムードに逆らっていないことをアピールするかのような「アリバイ工作」。

日本社会の同調圧力の強さと、ネット上でのバッシングに対する恐怖を感じる人が多いことがよくわかります。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年9月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。