フジテレビの希望退職募集は地上波の「終わりの始まり」

地上波のキー局であるフジテレビが50歳以上の希望退職を募集開始すると報じられました(写真はネットから)。勤続10年以上の社員が対象で、特別優遇加算金を退職金に追加し、希望者には再就職支援も行うという手厚い制度です。

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インターネットやネットフリックスのような有料課金動画サービスが普及してきたとはいえ、未だに地上波テレビを見ている人もたくさんおり、年配者を中心にそれなりの影響力は残っています。

しかし、スポンサーからの広告料で制作した番組を一方的に流すサービスは、好きな時に好きなものを選んで観ることができるオンデマンドサービスには勝てません。

新聞社が苦境に陥っているのと同じように、オールドメディアとして衰退の道をたどっている事は明らかです。

内部事情はよく分かりませんが、地上波のキー局の正社員の給与体系は極めて高いようです。別のキー局では、65歳の定年退職まで毎年2000万円近い給与がもらえるという話を聞いたことがあります。

テレビ局の多くの正社員の給与は、明らかに「高すぎた」と言うことです。

フジテレビが口火を切ったことにより、おそらく他の在京キー局も同じような希望退職の募集に乗り出すと思われます。

しかし、人員削減で人件費を減らしていって、出ていくお金を節約したとしても、広告収入は今後増える事は期待できません。入ってくるお金が少なくなれば、人件費だけではなく、制作費も削らざるをえなくなります。

そうなれば、ネットフリックスやアマゾンプライムなどに、コンテンツのクオリティーでも勝てなくなります。いや、既にもう負けている可能性も高いのです。

以前のブログで「地方のローカル線のようになってしまった日本のテレビ局」と書いたことがあります。

利用者の数が減っていけば、いずれローカル線の廃線と同じ運命をたどることになるでしょう。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年11月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。