日本の「長期的な課題」は誰が解決してくれるのだろうか?

最近のメディアの報道は、新型コロナウィルスとウクライナ情勢ばかりになっています。

確かに、どちらも国民の命を守り、国家の主権と領土の維持するためのとても重要な問題です。しかし、このような短期的な問題だけではなく、日本には長期的に解決すべきもっと大きな問題も存在します。世論の注目を集める目先の問題には、積極的に取り組むメディアや政治も、日本が抱える長期的な問題にはあまり関心がないようです。

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私が考える日本の長期的な課題を2つ挙げるとすれば、教育と人口減少です。

教育に関しては、最近のブログにも書きました。そもそもの教育方針だけではなく、英語やテクノロジーに対する実践的な教育が不足しています。グローバルに競争できる人材を育成しなければ、世界に取り残される事になります。

私が、もし中学生だったら、日本の学校には行かず、海外に留学すると思います。多様な価値観を持った人が集まる環境でコミュニケーションを磨き、英語とテクノロジーを集中して学べる環境は日本国内ではほとんど得られないからです。

そして、教育と並ぶもう一つの問題は、人口減少です。少子高齢化により日本の人口は急激に減少し、平均年齢が高まっています。これは日本だけの問題ではありませんが、日本はフロントランナーとして解決しなければなりません。

日本社会では、子育てに対する物理的・経済的負担が極めて大きいことが、子育てをあきらめてしまう人を増やしているのが現状だと思います。

教育や人口といった、長期的に重要な課題は、選挙や支持率に直接つながりにくいため、政治家は後回しにしがちです。

それよりも有権者の関心が高く、票になりやすい政策を優先した方が、政治家という職業として合理的なのです。

その結果、長期的な課題が、なおざりにされてしまう。

これは現在の政治システムでは解決できない問題です。

国民の多くがなんとなく問題だと思っているこれらの課題を取り上げ、具体的なソリューションを提示し実践できる仕組みは、今のところどこにも見当たりません。

このまま日本が劣化していき、問題が顕在化したところで手を打とうとしても、もはや手遅れです。

どのようにしたら良いのか。私には残念ながら解決の糸口は見出せません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年2月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。