日本にとってウクライナ情勢は「他人事」ではない

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ロシアがウクライナ全土に攻撃を仕掛け、侵攻を始めました。多くのロシア専門家ですら、この急展開は予想していなかったようです。

もともと、ロシアはクリミア半島とウクライナ東部2州の1部を実効支配していました。この2つの州の共和国としての独立を承認し、ロシア系住民の安全確保と言う大義名分で、今回のオペレーションを始めました。

暴走する国家トップが、周到な準備によって自己の正当性を主張しながら武力によって主権や領土を侵害する。これは、許されないことです。

多くの日本人は、ウクライナ侵攻と聞いて、国の名前は知っていても、ウクライナがどこにあるかさえ知らなかったと思います。

今回の軍事侵攻に関しても、なじみのないエリアで、他人事のように考えている人も多いでしょう。

しかし、他国の領土を武力でなし崩し的に奪い取ろうという国が、アジアには出現しないと言う保証はありません。

今回ロシアへの経済制裁が充分なものでなければ、国際的な非難を浴びたとしても、軍事侵攻した方がメリットがあるということになってしまいます。

そうならないためには、ロシアには今回の行動が割に合わないと言うことを国際社会が協調して示さなければなりません。武力衝突を避けるのであれば、実効性のある経済制裁を行う毅然とした態度が必要です。

ウクライナ同様、日本も隣国の間との領土問題を複数抱えて、1部の国土が他国によって実行支配されている状況が続いています。

北方領土、竹島、尖閣列島などの問題を契機に、ロシア、韓国、中国が同じような行動を始めたら日本はどうするのか?

ウクライナ情勢は日本にとって他人事ではなりません。日本がアジアのウクライナになる可能性はゼロでは無いのです。

現実に起こっていることを冷静に理解し、有事になる前に、準備をする必要があると思います。

ウクライナは個人的にはとても思い入れのある新興国の1つです。今は厳しい局面ですが、いずれ危機的状況から脱却して、正常化していくことを祈っています。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年2月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。