高齢者が途方に暮れる銀行の支店統廃合の対応策

最近目立つのが、銀行の支店やATMが街中からどんどん減っていることです。収益低下で合理化のために、駅近の路面にあった店舗を閉鎖して、賃料の安いビルの中にある空中店舗に複数の支店をまとめているのです。

例えば、近所にあって私がメインバンクにしている緑の銀行も、赤坂支店が閉鎖され、代わりに駅の改札横にATMが設置されました。

西新橋の支店も無くなり、自宅の近くで窓口があるのは、新橋支店か東京ミッドタウン支店だけになってしまいました。

このような支店統廃合で、私よりもっと困っているのは、お年寄りではないかと思います。

私が面倒を見ている老婦人は、東京都心部に住んでいます。

赤い銀行を使っていますが、預金通帳を紛失してしまい、最寄駅にあった店舗に行くと、閉鎖されていました。

窓口のある銀行の場所がわからず、通帳の繰り越しもできずに困っていたので、一緒に統合された店舗に通帳再発行に出かけました。

高層ビルの高層階にあって複数の支店が合同店舗のように営業しています(写真)。まず、年配者はここまでたどり着くのにも一苦労です。

店頭ではスムースに対応してくれました。しかし、手続きにはタッチパネルに名前とふりがな、店番や口座番号を自分で入れなければならず、サポートがなければ、自力では手続きできません。

銀行がDX化すると、対応できない高齢者は切り捨てられていくのです。

このような高齢者は、これからますます増えると思われ、銀行預金の維持・管理さえできなくなってしまうのではないかと心配します。

合理化によって公共インフラとしての使命を果たせなくなってしまった銀行。こうなって来ると、高齢者には、別の金融インフラが必要です。

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そこで思いつくのがゆうちょ銀行です。郵便局には併設されていて、閉鎖される店舗も少なく、窓口対応も親切です。

かつて、高齢者を食い物にする強引な保険の営業からプロテクトするため、口座を閉鎖させました。でも預金の出し入れをするだけなら、再び口座開設しても良いのではないかと考え始めました。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年4月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。