元ソニー社長の出井伸之さんが変えてくれた私の人生

ソニーの元社長でクォンタムリープ株式会社のファウンダーの出井伸之さんがお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

私が1999年の創業期に参画したマネックスは、ソニーと私の大学のクラスメイトだった松本大さん(写真左)の共同出資で立ち上がりました。ソニーと個人が折半出資ということで大きな話題になりましたが、当時のソニーの社長だった出井さん(写真右)と松本さんが、共通の知人と出会ったことがそのきっかけです。

ソニーという当時の最先端を走る大企業の出資という最高のブランディングを得たことが、マネックスのその後の成長だけではなく、危機においても大きなサポートになったことは言うまでもありません。

そんな大企業が、出来たばかりで売上が1円も無い社員4人のベンチャー企業に50%の出資を決めたのは、出井さんの強烈なリーダーシップによって社内の意思決定がなされたからだと思います。並の経営者であったら、リスクを恐れて決断できなかったでしょう。

そんな出井さんと最初にお会いしたのは、マネックスが出来て最初の記者発表の時でした。1999年8月の暑い日に大手町のアーバンネットビルに行ったのを今でも覚えています。この時の出井さんは、カリスマ経営者というにふさわしいオーラを放っており、マネックスのロゴをバックに松本さんと握手をした写真は、その後何回も使われることになりました。

出井さんは、間違えなく私の人生に大きな影響を与えてくれた方の1人です。出井さんが松本さんに出会わなければ、、、出井さんがマネックスに興味を持たなければ、、、。

歴史に「もし」は無いと良く言いますが、一瞬の出来事が本人だけではなく、その周辺にいる人たちの人生を変えてしまうことがあるのです。

出井さんにお礼を直接申し上げる機会が無かったのはとても残念ですが、いつかどこかでお会いしたら、そのことをしっかり伝えたいと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年6月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。