個人投資家のアメリカ株偏重は賢明な選択なのか?

日本経済新聞電子版によれば、先月末までの過去3ヶ月の投資信託の流入額ランキングでアメリカ株のインデックスファンドが、トップに立ちました。

ベストテンにはアメリカやグローバルな株式に投資するインデックスファンドが複数本入っています。日本の個人投資家が、徐々にアクティブファンドからインデックス運用に軸足を移し始めたことが見えてきます。(図表を元記事で見る

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特につみたてNISAなどの積立投資においては、インデックスファンドの比率が高くなっています。金融リテラシーの高い人ほどインデックス運用を行う傾向が強くなっていると推測します。

株式インデックスファンドの積立という王道の投資が広がっているのは好ましいことですが、気になるのは投資エリアがアメリカへに偏重していることです。

確かに過去10年の株式パフォーマンスデータを見れば、アメリカ株のリターンの高さは他国を上回っています。アメリカ株のインデックスファンドで米株に集中投資していれば、大きな成功を収めることができたのは事実です。

しかし、過去の実績が将来を保証するとは限りません。FRBの利上げや今までの大きな上昇によって、アメリカ株には相対的な割高感が出ています。今後は他国のパフォーマンスが上回ることも充分あり得る状況です。

そもそもどのエリアがこれから最も良いパフォーマンスになるかは事前に予想できません。であれば、アメリカ株だけに集中するのではなく、グローバルな株式に分散投資した方が賢明な投資と言えます。

できるだけ幅広い投資対象に分散し、低コストの株式型インデックスファンドの積立を使って、平均へのアプローチを長期で続ける。これが金融資産のベストな投資方法です。

そして私は実物資産も組み合わせることで更に資産運用の成果を高めることができると考えています。

日本の個人投資家に、更に洗練された資産運用を実践してもらえるように、情報発信を続けていきます。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年6月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。