アフターコロナで密かに始まる「東京の2極化」

東京都総務局統計部人口統計課が発表した2022年8月1日現在の東京の推計人口は14,036,936人で、前月比で858人の増加、前年同月比でも10,799人の増加となりました。前月比での増加は5カ月連続となっています(図表は東京都のホームページから)

前月比で増えたと言っても、東京都全体ではわずか858人(0.01%)の増加で、グラフを見ると少しは上向いているものの、コロナ禍の過去2年間とあまり変わらない数値に見えます。

しかし、これを都内の地域別に分解すると、東京23区では1,861人増加しているのに対し、多摩地区などのそれ以外の地域では人口減少しています。

1年前と比較して人口増加数が多い市町村ベスト5は、江東区(3,921人)、新宿区(2,779人)、台東区(2,684人)、豊島区(2,578人)、港区(2,408人)となっています。全て東京23区の中心に近いエリアです。

メディアは引き続きコロナウイルスの新規陽性者数を連日報じていますが、多くの日本人はアフターコロナを見据えて新たなライフスタイルを模索しはじめています。

飲食店や宿泊施設にも利用者が戻ってきて、関連する仕事も以前のモードに近づきつつあります。エッセンシャルワーカーだけではなく、このような仕事に従事している人たちもリモートではなく現場で働かなければいけません。

また、ホワイトカラーでリモートワークしていた人たちも、以前のような勤務形態に完全に戻ることは無いとしても、今までの極端な「コロナシフト」からの揺り戻しが始まっています。

それが、東京の中での「23区かそれ以外か」という違いになって、2極化し始めたのだと理解しています。

さらに、東京23区の中でも2極化が始まっています。東京23区全体に人が戻る中、人口が減少している区も存在します。東京23区でも利便性に劣るエリアは人口が流出を始めているのです。

今までは東京23区の中古ワンルーム投資をすれば、誰でも成功する時代でした。そろそろエリアの選択まで考えて、先手を打っておくべきタイミングになってきたと感じます。

不動産投資の基本と言える人口動態についての統計データをチェックしながら、今後の投資戦略を練っていくべきです。

coward_lion


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年8月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。