インフレになるのに、なぜお金を借りないのか?

日本でもようやくインフレ率の上昇が目立ってきました。日本経済新聞によれば、2022年8月の日本の消費者物価指数(CPI)は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が102.5となり、前年同月比2.8%の上昇となりました。(図表を元記事で見る)

これは、30年11カ月ぶりの上昇率で、2%台の上昇は5カ月連続です。

Motortion/iStock

また、地価も動き始めました。東京だけではなく、全国的に地価の底打ち傾向が見えてきています。特に地方中核都市の不動産価格が上昇しているのが注目されます。

今後、日本でも欧米並みの物価上昇と不動産価格の上昇が本格化する可能性が出てきました。となれば、日本人が今やるべきは「お金を借りること」です。

低コストでお金を借りて、その資金で国内不動産を資産にする。私が8年前から実践していることです。

しかし、日本人の借金に対するアレルギー反応はなかなか解消しません。「借金=悪」という固定観念から抜け出せないのです。かく言う私も50年間この呪縛に縛られていましたので、その気持ちはよくわかります。

そして、日本人の借金の問題は、マイホーム志向が強いことです。住宅ローンに対する抵抗は無いのに、投資用の借り入れに対しては警戒する。これは不思議なことです。

自分が働いて返済をする住宅ローンの方が、入居者に返済してもらえる投資用ローンよりリスクが高い。少し考えれば、誰でもわかることです。

さらに、郊外の一戸建てのようなマイホームは、将来の資産価値に疑問が残ります。資産性のないマイホームを買えば、リスクを高めることになってしまうのです。

正しいやり方でお金を借りることで、将来のインフレリスクに備えることができる。その方法をこれからも自分自身で地道に実践する

それと同時に、日本人のお金との付き合い方を変えるための啓発活動を続けていこうと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年9月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。