72歳村田兆治氏はナゼ「キレるおっさん」になったのか?

私の世代には「マサカリ投法」「サンデー兆治」でお馴染みのプロ野球ロッテの元投手の村田兆治氏が、羽田空港の保安検査場で検査員に暴行した容疑で逮捕されました。本人は容疑を否定しているようですが、何らかのトラブルがあったことは事実のようです。

現役時代は右ひじ手術を乗り越えて復活し、1985年にはカムバック賞を受賞した努力の人で、引退後も社会貢献活動に積極的に取り組んでいたそうです。そんな今までの村田氏の人生の軌跡と今回の事件の間に大きなギャップを感じます。

引退試合での村田兆治氏 Wikipediaより

72歳ということですから「キレるおっさん」というより「キレる爺さん」というべきなのかもしれませんが、加齢と共に感情のコントロールが出来なくなりキレやすくなるのには理由があります。

まず、脳の機能の衰えです。

感情をつかさどる前頭葉が機能低下してしまうと感情が抑えられなくなり、キレやすくなるようです。また、男性の場合はテストステロンという男性ホルモンが低下することによってイライラや不安などをもたらし、精神面が不安定な状態に陥る場合があるそうです。いわゆる更年期障害の症状です。

また、肉体的な問題だけではありません。女性に比べ男性は、家族や社会から孤立することによって、精神的に追い詰められてしまうことが多く、孤独感を感じがちです。これが精神状態を不安定にしてしまい問題を起こすのです。

さらに、肩書が無くなったりすることで、承認欲求を満たせる機会も減っていきます。年齢と共に今までできたことができなくなって、年少者と立場が入れ替わっていくことを屈辱だと考える人もいます。

とすれば「キレるおっさん」にならないためには、脳機能の維持のために健康に気を付けるだけではなく、孤立感を持たないように仲間を持ち、自己承認欲求を持ち過ぎないようにすることです。

現役時代にスターとして輝いていた人が晩節を汚す報道は、過去が輝いていればいるほど切ない気持ちになるものです。

今回の報道は他人事とは思えません。明日は我が身だと思って、戒めにしたいと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年9月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。