「悪いことが続く呪い」を断ち切る3つの方法

黒坂岳央です。

人生はまるで、寄せては返す海の波のようである。良いことだけが続くこともないし、その逆に悪いことだけが続くこともない。だが、完全なランダムというわけでもなく、なぜか悪いことは連続して続いてしまいドツボにはまる感覚に陥ることがある。

筆者にもこうした不調の経験がある。なぜか何をやってもうまくいかない。まるで悪い呪いにかかってしまったように感じる瞬間もあった。だが焦らない。流れを変える兵法をこれまでの人生経験で体得しているからである。今回は悪い流れを断ち切る方法論を自分の目線で話したい。

Nadya So/iStock

1. 攻めより守りに入る

まず、不調な時にはこれまでやったことのない、新たなる試みにはなるべく手を出さない。不調な時は精神的に焦っている。一日も早く平常運転に戻したい。その気持ちの焦りで、うまくいって何かを作るために新規の挑戦をやってしまいがちだ。

しかし、過去にそれをやってうまく進んだことがない。気持ちが後ろ向きで自信がない時に新しいことをやっても、さらにうまくいかないことを強く認識することになるのでますます焦る。既存の活動が疎かになってしまう。だからやるべきは攻めより守りである。

具体的には、英語の勉強などでいえば、すでに暗記や理解が済んだ単元を復習する。すでに経験済の領域であるため、うまくいかずにもがくこともなく、復習することで記憶や理解の定着が進む。また、ビジネスの分野であれば新しいことをする代わりに、既存の仕組みのブラッシュアップなどをするのだ。商品説明を見直してわかりにくい箇所を書き直すとか、同じような質問が来ているなら疑問を持たないように説明を入れるなどである。

「守り」と聞くと響きはよくないように感じられるが、どんな勉強やビジネスでも守りは重要であり、守りが新たな攻めの礎になる。守りを固めて、改善を繰り返す過程で、いつしか自信を取り戻してまた積極的な攻めに転じたい欲求が生まれるだろう。

2. 大局の目標を見直す

目先の活動がうまくいかない時は、大局のゴールを見直すと気持ちが落ち着くと感じる事が多い。

どんなプロスポーツ選手でも、全戦全勝というのはありえず、プロをアマが下す場面も見られる。周囲からは「この人はもうオワコンだ」とヤジが飛んできて自信を失いそうになるかもしれない。だが、どんなプレーヤーでも「トータルで勝てば良い」のである。ビジネスや勉強も同じで、うまくいかない不調が続くとどうしても視野狭窄となりがちだ。しかし、落ち着いてゴールを見直して、「そもそも、自分がこの仕事をしているのは何のためだっただろうか?」と思い直すのが良いだろう。

たとえば多くの人はビジネスで売上の不調が続けば思い悩む。もちろん、生きていく上でお金は必要だしビジネスは儲からなければやる意味がない。しかし、そもそも仕事を始めた目的は「ひたすらシューティングゲームのスコアみたいに、資産を増やしたいから」ではなかったはずである。

多くの人にとってお金を稼ぐ目的とは、その稼いだお金を使ってビジネスに再投資して拡張するとか、ビジネスを通じて素晴らしい人と知り合ったりするためのもののはずである。ただただ資産を増やすだけなら、部屋で一人、外界と一切の接触を絶ち金融投資やアドテクにすべてのリソースをつぎ込むことが効率的だろう。だが、ほとんどの人にとってそのような生活は楽しくないと感じるのではないだろうか。

やはり、自分の得たスキルを発信して誰かにシェアしたり、自分に合う人と交流をするのは楽しいと感じる。これは人間が社会的な動物である宿命に近いだろう。必要以上な身の丈に合わない稼ぎを追求しても、幸福は遠のいてしまう。思い出すべきは、チャップリンの「愛と勇気とサムマネー」という言葉だろう。

大局の目的を見直すと冷静さを取り戻せるはずだ。

3. 不運の中から改善ポイントを見つける

最後にして、最大のポイントが「不運の中から改善ポイントを見つける」ということである。筆者はこれを勧めたい。悪いことが続くと、どうしても悪い部分ばかりがフォーカスされてしまいがちだ。だが、どんな局面でも必ず、悪いことの他にも良いこともたくさんあるはずである。

たとえば顧客から強い不満の連絡が続けば、誰しも落ち込む。自分も例外ではない。だが、その不満は角度を変えてみれば「あなたにはこういう点が不足しているのだ」というありがたい教えとも受け取れる。

しかし、絶好調の時はなかなかこの改善は起きづらい。周囲から称賛されている最中に、「自分は具体的にこういう点が足りていなくて、こういう改善が必要だ」ということを、あまり振り返らないからだ。

ところが、相手からダイレクトに不満の声を受け取ったら、それは自分の何が問題でどう改善すれば次はこのような不満を出さずに済むのか?ということを真剣に向き合わざるをえない。その結果、改善が起きり、ビジネス全体のクオリティの底上げにつながる。不満を訴えてきた相手に、謝罪と改善ポイントを伝えることで、逆に相手から真摯な対応を再評価される可能性もある。

だから筆者は不運が続いた時は、「これは自分に足りない何かを教えてくれているのだ」と無理にでも解釈し、必要な改善点を探るように意識している。

悪いことが続いた時は、誰しも落ち込む。「自分はきっと悪い呪いを受けているのだ」と投げやりになる。だが、そこで冷静さを保ち、前向きになることが肝要である。筆者個人は、今回紹介した3つのポイントを実践して毎回立ち直っている。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。