小さな失敗は、早いうちにたくさんした方が良い

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これまでの人生で、仕事でもプライベートでも、数々の失敗を繰り返してきました。やるかやらないか迷ったら、やる方を選んでしまうリスクテイカーの性格が災いしているのかもしれません。

そんな自分の生き様を正当化するわけではありませんが、人生は「リスクを取ったもん勝ち」だとつくづく思います。

なぜなら、ほとんどのリスクは一般に考えられているよりも過剰に評価されています。実際にリスクを取ってみると、思ったほど大したことのないケースが多いからです。

リスクを取れば取るほど、当然のことながら失敗することも増えていきます。

裏返せば、失敗の数が多いという事は、リスクをたくさんとっていることを意味します。

だから失敗ばかりしているのは、正しい行動の結果とも言えるのです。

失敗することを恐れて、出来るだけリスクを取らないようにしていると、マイナスはないかもしれませんが、成功によるリターンもありません。

官僚や銀行のような減点法の世界で生きていると、無難ではあるが何とも味気ない人生に終わってしまいます。

致命的な失敗は、人生を終わらせてしまうリスクがあり、気をつけなければいけません。でも「死ぬこと以外はかすり傷」ですから、致命的な失敗に遭遇する可能性はほとんどありません。ほぼすべての失敗は「小さな」ものですから、出来る限りたくさんした方が良いのです。

最終的には数々の小さな失敗の中から、それらよりずっと大きな成功を手に入れられます。

失敗することができる能力、すなわち「リスク許容度」は、一般に年齢とともに低下していきます。若い頃には無茶をしていたのに、だんだん丸くなっていく。これは、誰でも思い当たることだと思います。

だとすれば、小さな失敗はできるだけ早く、できるだけたくさんした方が良いのです。

リスク許容度が大きな人は、リスクを躊躇なく取ることができ、それが結果につながっていく。資産運用の世界で、お金持ちがさらにお金持ちになっていく理由も、この辺にあるような気がしています。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年10月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。