慶応大学卒業生は、ナゼすぐ三田会を作りたがるのか?

早稲田大学卒業生で不動産業を営んでいる方からご縁をいただき、大学不動産連盟に加盟している早稲田大学稲門会で講演する機会がありました。

この大学不動産連盟には17の大学が加盟していますが、残念ながら私の出身大学はメンバーに入っていません。

国立大学は、このような組織に加盟できないからという説もありますが、いずれにしても不動産業界の「インナーサークル」に入れないのは残念なことです。

そして、その講演のご縁で、今度は不動産三田会でも講演をすることになりそうです。不動産三田会も大学不動産連盟に加盟しています。

それにしても、慶応大学のOBが組織する「三田会」と言うのは、様々な業界に幅広く存在し、海外の駐在員のネットワークまで出来てきているそうです。

私が以前勤務していた信託銀行にも慶応大学卒業生社員が三田会を作っていたと記憶します。

他の大学に比べ慶応大学の卒業生の結びつきは特に強いように感じます。慶応大学と双璧と言われる早稲田大学は、どちらかと言うと一匹狼で徒党を組まないイメージです。

なぜ慶応大学には、そのような卒業生の結束という強みがあるのでしょうか?外部の人間ながら、私なりに考えてみました。

まず、大学側のブランディングが上手なことです。慶応大学と言えば頭脳明晰なだけではなく、品が良いイメージがあります。おそらくハーバード大学を参考に、大学のバリューを上げるマーケティングをしっかり行っているのだと思います。

その大学のブランディングにより、卒業生も大学名を出すことに誇りを持ち、その高い帰属意識が大学の価値向上に結果的に貢献しています。

大学側と卒業生側がお互いに価値を高める好循環(ポジティブフィードバック)を生み出しているのです。

慶応大学の卒業生は自分の子息を慶応に入れたがり、何代にもわたって大学との縁を深めていくことに価値を感じています。これも他の大学には、あまりないことだと思います。

少子化により日本の大学教育は大きな曲がり角に来ています。これから存在価値のない大学は淘汰されていく運命にあります。

そのような中、慶応大学はこれから最も生き残る可能性の高い「私立大学の頂点」と言えるでしょう。三田会の結束は更に強まることになりそうです。

「三田会の秘密」については、慶応大学卒業生のご意見を、是非聞いてみたいものです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年11月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。