家庭ゴミの量は貧しさと比例する

黒坂 岳央

黒坂岳央です。

毎日新聞に興味深い記事を発見した。お笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢秀一さんがゴミ収集の体験を語られているのだが、「お金持ちエリアと庶民エリアとで家庭ゴミの出る量が違う」という。お金持ちエリアほどゴミは少ない、所得と家庭ゴミの量は反比例するというのである。

よくある「本当のお金持ちはこうで~」といった眉唾ものの話とは異なり、この記事で語られていることはかなりの合理性を感じた。筆者は大富豪などではないが、会社員時代と比べて所得が向上した今の方が確かにゴミは圧倒的に少なくなったので自己体験的にも理解できるつもりだ。

Chalabala/iStock

お金持ちと庶民の家庭ゴミの違い

同記事によるとお金持ちエリアでは本当にゴミが少なく「自分が認めたもの以外にはビタ一文支払わない」という決意のようなものを感じるほどだという。その一方で、庶民エリアからは缶チューハイ、タバコ100円ショップのグッズなど安くて長持ちしないグッズが大量にゴミとして出ている。「これはお金を出してゴミを買っているようなものでは?」と思わされたという。

不動産に明るい人物に言わせれば、そのエリアのマンションのごみ捨て場を複数見れば生活水準がおおよそ検討がつくという。たとえばある高額所得エリアの家庭からは、大量の剪定された枝などが出されるなどである。大きな庭がある証拠だろう。

所得が増えると家庭ゴミが減る理由

筆者自身、経済的に困窮していた時期は非常にゴミが多かった。物欲旺盛だったというのは、若かったからというだけでなく仕事のストレスを買い物で晴らしていたというのもあったと思う。インスタントにスカッと気持ちよくなるのは、買い物と食事だったのだ。

観葉植物は買ってすぐに枯らしてしまうし、インテリア雑貨は開封もせず引っ越しのタイミングでたくさん捨て、100円ショップでも買うけど使わないまま捨てるという愚かなことばかりやっていた。安物買いの銭失いもたくさん経験した。まさに「少額でせっせとゴミを買う」という状態である。

今は必要なもの以外は徹底して買わないようになった。高額なカメラなどは旅行の時だけレンタルすればいい。ガジェットは一番高くてリセールバリューの高いものを買い、必要になったら売却して新しいものを買うようにした。「まだ使えるし捨てるのはもったいないな」と思うとものが溜まってしまうので、それなら多少面倒でもしっかり売却して存在をなくしてから買い替えるように徹底した。

今はバッグすら売却済で手元にはなく、旅行や出張では荷物は郵送で対応して基本的に手ぶらである。このような生活ではゴミが出ない。本当に出ない。余計なもの、必要でないものは絶対に買わなければ、必然的にゴミは減るのである。ゴミがほとんど出ないような生活をすることで、結果的に出費も減るということになる。件の記事の内容にも合理性があるのだ。

ゴミの取り扱いで人生を消耗するな

筆者は意識的にミニマリストではないが、ムダを省いてきた結果としてそうなった。そしてわかったことがある。それはゴミを出すとそれだけ人生を消耗してしまうということである。

買ってもずっと使わない不要なものは、たとえ外装がきれいでもそれは本質的にゴミである。なぜなら将来、ほぼ確実に捨てられてしまうからだ。そういった家具、雑貨をたくさん持つと引っ越しの時に処分代もしくは郵送代がかかる。ゴミがあるだけで部屋の空間を圧迫し、QOLを下げる。だからゴミはあればあるほど人生を削ってしまう。

貴重な一度しかない人生を、無価値なものの取り扱いで消耗するべきではない。人生からできるだけゴミを無くす重要性を改めて教えてくれた記事だったように思う。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。