実績や経歴は盛らずに正直でいる方が得をする

黒坂岳央です。

「あなたは誠実な人だ」。ありがたいことにこのセリフ、YouTubeの発信をするようになって何度となく言われてきた。

昨今「悪名は無名に勝る!とにかく稼いだもの勝ち」「経歴詐称はバレなければOK」といった風潮と感じられる。確かに理屈としてはそういえる部分はあるかもしれないが、人生はお金だけでは語れない。悪評が広がったり、周囲の人間から恨みや怒りを買ってまで大金を稼いでも人生は不幸になると思っている。

誠実でいることは確かに報われないこともある。だが、トータルで考えれば人生は楽に生きられると思うのだ。表面上のきれいごとを言うつもりはない。筆者にもまだまだ足りない点は多い。だが、少なくとも意識的に不誠実を働くことは止めたほうがいいと思うのだ。

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自分を盛るほど人生はしんどくなる

件の通り、経歴や実績はあちこちで盛りに盛られ、ウソで塗り固められたような人物は一定数いる。稚拙なウソで周囲から見てバレバレで失笑を買うケースもある一方、文春砲で大暴露の結果、驚きとともに暴かれたウソというケースもある。

いずれにせよ、ほとんどのウソはいつかはバレるようになっていると思うべきし、トータルだと損をしてしまうと考えた方がいいと思っている。

無名の頃は経歴や実績を盛ってもそう簡単にバレることはないかもしれない。だが、長い間ウソの経歴や実績で活動をしていると、どこかでつじつまが合わない点や矛盾に感づいて調べる人が現れる。その結果、後でウソを大暴露されてしまえばその間の長期に渡る努力は水泡に帰すことになる。

「いつバレるか?」ということにビクビクしながら必死に辻褄を合わせるのはとてつもない労力と心労である。そしてバレてしまえばその損失は計り知れない。つまり、ウソを付くほど時間の経過とともに人生はしんどくなっていくのだ。なら最初から正直でいた方が圧倒的に楽に生きられるのだ。

嫌われても恨まれてはいけない

生きていれば一定数からは必ず嫌われる。これはどうしようもない。どんなに美人、イケメンでも好意を寄せる人がいる一方で美貌を妬んで嫌う人はいるからだ。全員から好かれることは不可能である。

だが、恨みについていえば工夫することで回避できる。その1つが相手を騙さないようにすることだ。ビジネスにおいて事実と異なる経歴や実績で相手を騙してしまえば、信用とともに商品サービスと対価を等価交換したと思っていた顧客から恨まれることになる。

たとえば「北海道産」といっておきながら、実際には海外産の激安品を販売したなどのケースである。これをすると嫌われるを通り越して確実に相手から恨まれる。金銭を不当に奪い取られたのと同じだからである。嫌われてもいいが、恨まれないためにも相手を騙すべきではない。きれいごとなしで、自分の身を守るためにも誠実でいることだ。

誠実な方が得をする

筆者は時間に非常に気を使う。「14時にこちらから電話します」と約束をしたら、絶対に遅れず時間通りに電話をするようにしている。絶対に約束を忘れてしまわないよう、Googleカレンダー、Gmailで自分へのリマインドメール、そして5分前にスマホアラームをかけて3重の対策で対応している。

正直、通話や対面の約束は気分的に重く感じることは少なくない。1回1回の約束をきっちり履行することで、自分にかなりのプレッシャーを感じるからだ。同じく、ビジネス記事の原稿なども約束の期日より必ず前に出すようにしている。

人間関係における不信の始まりは常に「口で言っていることと実際の行動が一致しない」なので、こうした小さな約束をきっちり守り続けるだけで相手から信用される。

仕事は結果がすべてだと言われるが、毎回約束の時間に遅刻したり提出期限を遅れてくる相手に重要な仕事を任せる人はいない。ちゃんと約束を守れば、仕事もリピートしてもらえたりするなど、誠実でいると得をすると感じることは少なくないのだ。

必死にウソを取り繕って実績を盛りに盛れば、一部の人を騙してビジネスの売上を高めることは可能かもしれない。実際、そのようにしている人は世の中にかなりいる。

だがお金を稼いでも相手から恨まれたり、ウソを隠し続ける精神的負担を考えれば、不誠実はまったく割に合わないと感じてしまう。使う予定のないお金の残高をいたずらに増やそうとして圧倒的に不幸になってしまうなら、一体何のために仕事を頑張っているのかわからなくなってしまう。

疲労困憊してまで後でバレる実績を盛るより、誠実に生きる方がきれいごと抜きで人生は遥かに楽になると思うのである。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。