「被害者意識が強すぎる人」と関わってはいけない

黒坂岳央です。

「○○な人と関わってはいけない」

というタイトルは動画や記事など、媒体は違えどあちこちで見かける。いずれもアクセス数が多く、人々の関心が高いテーマなのだろう。

蓼食う虫も好き好き、人の数だけ個性がある。そのため、本稿のタイトルになっているこの提案にも「合う・合わない」にわかれるだろう。人によっては「このような主張をする筆者のような人物と関わりたくない!」と強く感じる人もいるはずだ。それについては一切の反論はないし、甘んじて受け入れる所存である。

本記事はあくまで個人的な意見、感想であるという前提で読み進めてもらいたい。

PeskyMonkey/iStock

被害者意識が強い人が見落としがちな事実

最初にお断りしておくと、筆者は被害を訴える人を無視したり軽視せよというつもりは毛頭ない。救われるべき人は世の中にたくさんいるのはよく理解している。だが「過剰なレベルに被害者意識が強すぎる」という人については「本当に積極的に救いの手を差し伸べるべきだろうか?」と感じてしまう事が少なくない。

筆者は会社員の頃、まるで悲劇のヒロインのような社員がいた。口を開けば悪口と愚痴以外言うのを聞いたことがないというイメージであり、「自分は頑張っているのに、会社に不当に安月給でこき使われている搾取される哀れな奴隷だよ」といった趣旨の発言が多かった。

しかし、その人物は周囲からの評判が悪かった。仕事のパフォーマンスはお世辞にも高いとはいえず、むしろグチグチ言うことで周囲のパフォーマンスを下げていた。会社は労働基準法違反は一切なく、残業も彼自身の仕事のパフォーマンスが低いことに起因すると感じる事が多かった。

逆の視点で経営者からすれば、彼の方こそ会社を搾取していたようにしか見えなかっただろう。この人物は正社員だったため、企業は仕事のパフォーマンスがどれだけ低くても簡単には解雇することができない。明らかに他の人材へ交代する方が良いにも関わらず、である。客観的に見れば被害者はむしろ、会社の方だったのではないだろうか。

また、「日本は税金が高くて国民を搾取している!」と怒り心頭でひたすら日本の悪口をいう無職のおじさんを見かけることがある。まずは享受している税サービス以上に、納税して然るべきではないだろうか?

もちろん納税額の多寡に関わらず、論理的に統計的観点から必要な是正策を主張することは正当な権利であるし、税の透明性の高い公平妥当な使途を訴える行動は必要である。しかし、単なる愚痴レベルの稚拙な不満をぶちまけることは、それを聞かされる周囲に新たな付加価値はない。「まずあなたが働いてからでは?」といいたくなってしまう人もいるのではないだろうか?

被害者意識が強すぎる人たちは、自分たちの権利を主張するばかりで自身の義務をおろそかにしているケースが多いと感じさせられてしまうのだ。

関わるとかえって恨まれる

被害者意識が強すぎる人に対して、注意や助言をしても基本的に聞き入れられることはない。筆者はやんわりと気づきを促した人が猛烈な反発にあい、今度はその相手を強く恨むようになった光景を見た時にそう感じた。

ここからは推測の域を出ないが、被害者意識が強すぎるということは極めて主観的かつ客観性に欠けており、「自分の人生は自分の力でコントロールできるもの」という意識が薄弱と考えられる。彼らは「あの人/あの会社/あの国のせいで自分の人生は台無しにされた」という発言をすることが多いわけだが、「自分の力でいつからでも人生はどうにでもできる!他人や社会は関係がない!」という自責認識をする者からは絶対に出て来ない発想だからだ。

黙って去る

被害者意識が強すぎる人を見ていていつも感じることは、「いやなら黙って去ればいいのでは?」という感覚である。

「会社に搾取されている!」と何年も何年も不満を言い続けるのは、論理的に時間とエネルギーの損でしかない。もしも筆者が同じ感覚を得たなら、即日で現行環境を損切りして次を探すだろう。自分が満足するような改善や変化が起こることを期待するのは時間のムダでしかない。no deal、すぐに損切りして次へ行けばいい。

人間関係についても同じだ。相手が自分の思うようにいかず、不満を感じるなら関わりをやめればいいのである。「会社員の立場だと逃げ場がない」と反論が返ってきそうだが、完全に無視はできないまでも、挨拶だけ、要件だけの淡白な関係性を維持すればいいだけである。実際、筆者が会社員の頃は本当に合わない人とは可能な限り関係を薄くして過ごしていた。

…と散々色々と論じてきたが、もしかしたら筆者こそ「被害者意識が強すぎる人に、強い被害者意識を感じている人」なのかもしれない。仮に事実そうだったとしても、少なくとも被害者意識を表面化させないように心がければ解決する問題なのかもしれないと思っている。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。