「人に教える」は最高の勉強法である

黒坂岳央です。

世の中にはいろんな勉強法がある。効率的、科学的な根拠に基づく勉強法が提唱されるが、いつの時代でも間違いなく最も学びになるのは「人に教えること」であると断言できると思っている。

ほとんどの人はせっかく時間とコストをかけて勉強しても、「知って終わり」になっている。これはとてももったいないことだ。なぜなら知っただけでは知識は砂上の楼閣、時間の経過とともにあっという間に知識は穴だらけになり、忘却の彼方へと消えてしまうからである。その一方で、人に教えたことは明確に学びになる。

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知識は教えることで洗練される

まず、あらゆる知識は人に教えることで洗練されるという事実がある。これはとても大きい。

筆者は日々、読書、記事、動画で新たな知識を得ているがその都度すぐにブログやビジネス記事、YouTube動画などで積極的に発信している。「これは」と思ったことはその場ですぐにメモをしてGoogle Keepに保存し、後からそのGoogle Keepから記事や動画に仕上げるようにしている。この記事もその一つであり、読書をしている途中で得た着想を元に書かれているものだ。

「教える」ということの意味合いは、教師として生徒を持つというだけではない。アウトプットすることもその1つである。

自分としては学んだことを自分のために体系化して発信しているという感覚だが、視聴者を意識して書いたり話したりすると知識の重要なポイントを理解したり、わかりやすいたとえ話を用いたりする過程で知識が整理され記憶に深く残る。よく「教えるには教わる側の3倍の理解が必要」という話を聞くが、実際これは正しいしその知識を整理する過程でようやく学んだことが知識に定着するという感覚を得る。

知識は教えることで洗練されるのだ。

教えるから気づける、拾える

毎日、人に教えたり、アウトプットを続けているとわかることがある。それはこの生活習慣が魅力的な知識や情報を拾ったり気づきを与えてくれるということだ。漫然と代わり映えしない生活を送っていても、気づかないまま通り過ぎていくことは多い。

筆者は2003年前後から日記を書くようになった。日記を書くようになる前の記憶はほとんどないが、日記を書くようになってからはいつ何があったかはかなり鮮明に記憶に残っている。忘れても日記をみれば、思い出のアルバムを開いたように鮮明に当時の記憶が映像や音とともに蘇る感覚がある。

そして日記をつけ、動画や記事を出すようになって日常生活をするだけで世の中はネタの宝庫であるということがわかった。それまではぼーっとして通り過ぎていたことも、教える側にたつと「この体験はなにかの時に誰かを励ますエピソードとして活用できるな」といった気づきになるのだ。

教えるからこそ、気づく、拾えることはとても多い。そして年単位ではそうでない人と積み上がる知識や気付きの総量はとてつもない差になるだろう。

コミュニケーション能力も飛躍的に伸びる

教える過程で、語彙力表現力などのコミュニケーション能力は飛躍的に向上する。

記事や動画を出すと、世の中にはいろんな人がいることを知ることになる。書いた内容を正確に読めない人、批判しかできない人、誤解する人、その逆に極めて理知的な解釈ができる人などである。

いろんな人がいることを想定すると、必然的に言葉の使い方に気を配ることになる。「この言い方だと、誤解を生じる人が増えそうなのでそうならないためにこっちの言葉を使おう」とか「難しい概念なので、このたとえ話を出そう」といった具合である。教える相手から誤解した内容で批判が来れば、「なるほどこの言い方だと伝わらないんだな」とフィードバックを受けて次回は善処しようと考えることになる。この技術の向上はネットだけでなく、リアルのコミュニケーションでも活きる。

筆者は昔、「あなたは何をいいたいのか全然分からない」と言語能力が非常に低かったが、発信活動をするようになって、門外漢の知識がない相手でもわかりやすい説明ができる力は磨くことができたと思っている。

「教える側になるなんてとんでもない」と尻込みをする必要はない。教師と生徒の差はとても小さくてもいい。教師の立場になって背伸びして教え続ければ、そのうち教えるスキルが追いついて役に立つ話ができるようになる。一日も早く教える立場に立つ勉強法を通じて、自分自身が最も得をする立場になることをおすすめしたい。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。