経営危機が伝えられていたスイスの大手銀行クレディ・スイスは、同じスイスの銀行UBSが30億スイスフラン(4300億円)で買収することで合意しました。
ここで話題になったのは、買収されたクレディ・スイスの株式の一部はUBSの株式と交換されたものの、160億フラン(2.2兆円)のAT1債とよばれる劣後債がパーになったことです。
AT1債って何でしょうか。ChatGPTに聞いてみました。
AT1債(Additional Tier 1 bond)は、銀行などの金融機関が資本増強のために発行する債券の一種で、Tier 1資本の一部として扱われます。Tier 1資本は、金融機関の財務安定性に重要な役割を果たす最上位の資本です。
AT1債は、通常、無期限または長期間の債券であり、イールド(利回り)が比較的高く、株式と似たようなリスクとリターンがあります。AT1債の最も重要な特徴は、発行者が金融的に悪化した場合に、利息の支払いが中断される可能性がある点です。
これは、AT1債が優先株式のようなハイブリッド証券であり、発行者が特定の財務基準を下回る場合に償還または無価値化されることがあるためです。AT1債は、銀行が金融危機に陥った場合に、株主やその他の債権者が損失を負う前に、最初に損失を負うことになります。
AT1債は金融危機のとき「税金を投入するな」という騒ぎが起こって救済が遅れるのを防ぐために、債権者に損失を負担させる制度ですが、借金は株式より優先して返してもらえるという常識に反する債券です。
これは制度設計で予定されていたことなので、機関投資家は知っているでしょうが、一般投資家は知らないと思います。
日銀がYCCで金利リスクをすべてかぶっている日本は安泰です。
目先のリスクだけ考えると、長期金利の上限を0.5%に固定した黒田日銀は賢かったともいえますが、おかげで日本の債券市場にはリスク配分の機能がなくなり、退場すべき企業も退場しなくなってしまいました。