羽生善治さんから考えさせられる「人生の引き際」

最近の日本はダメになったとよく言われますが、才能と努力から信じられないような若者が各界に生まれ、大活躍しています。

ベースボールなら大谷翔平さん。そして将棋の世界は言うまでもなく、藤井聡太さんです。お二人の活躍ぶりは、想定を遥かに超えたマンガの世界のようなレベルです。

その藤井さんと羽生善治さんの直接対決がありましたが、羽生さんは残念ながら破れてしまいました。

羽生九段と藤井五冠 NHKより

羽生さんはかつて藤井さんと同じように天才と言われ、当時の将棋の7冠を全制覇。しかし、最近は結果を出せずに苦しんでいます。

そんな羽生さんには及びもしない人生ではありますが、自分が同じ立場だったらどう思うのかを想像してみました。

全盛期から見れば、今の状況には決して満足していないはずです。

しかし、羽生さんの素晴らしいところは、自分の置かれた状況に関係なく、引退もせずに常に成長を追い求める強い気持ちです。逆境にあっても、心が折れないのは、本当に心からリスペクトできる精神力です。

いや、もしかしたら羽生さんは自分がやっていることを楽しみ満足しているので、置かれている立場など全く気にしていない。そもそもの発想が常人とはケタ外れなレベルなのかもしれません。

将棋の世界に限らず、どの分野にも新しい才能を持った人たちが現れ、今まで活躍していた人を駆逐していく。そんな世代交代がどこかのタイミングでやってきます。どんな世界にいても、これは変わりません。

自分がそのような流れに巻き込まれた時、羽生さんのような生き方をするべきなのか。それとも、未練なくすっぱりと引退すべきなのか。そんな決断をしなければならない時がやってくるのです。

その時に自分の人生観が問われます。

現実にそんな状況になってみないと自分がどうするのかは分かりません。でも、常人であっても「人生の引き際」をどうするか。その心の準備を今からしておきたいと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年4月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。