家賃が高くても、やっぱり東京に住みたい理由

総務省が発表した2022年10月1日時点の人口推計によると、この1年で人口が増えた都道府県は東京都のみ。残りの46道府県ではすべて人口減少という結果になりました。

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沖縄も本土復帰の1972年以来、初めて人口減少に転化しました。

一方で、コロナ禍で昨年は人口減少した東京の総人口は、前年比で0.20%増して1403万人になっています。その原因は、人口の自然減を補う外国人を含めた外部からの人口流入です。他のエリアよりも東京の方が魅力を感じる人が多いということです。

家賃が高く、生活費もかかる。そんな東京になぜ住みたがるのか。

その理由は「仕事と出会い」だと思います。

高コストの場所であっても、それ以上の収入が得られるのであれば、そこに住んだ方がメリットがあります。

逆に生活費が低くても、仕事がなければ、経済的に豊かな生活はできないのです。

東京には、大企業や外資系企業が集中しており、雇用機会が豊富に存在します。他の地域に比べ、給与水準も高く、仕事の選択肢も広いのです。

また、コロナ渦では東京から地方に転居し、広い家に住んでリモートワークするライフスタイルが注目されました。子供のいる家族では、今も根強い人気があるようですが、単身者にはあまり響かないライフスタイルです。

単身者にとって、東京は仕事をするだけではなく、プライベートの充実した時間を過ごせる便利な街です。充実したインフラがあり、友達とも気楽に会うことができる。パートナーを見つけたりするのにも、東京にいることが大切なのです。

都道府県レベルではなく、市町村で見れば全国で人口が増加している街はいくつか存在します。

しかし、大きな流れとして、仕事と出会いがある都市部への人口流入というトレンドは、若年層を中心にこれからも続くと予想します。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年4月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。