30歳を超えて大事なのは「何を食べないか?」

黒坂岳央です。

食の健康を考える上では「健康的なこの食品を食べましょう」「火を通すと栄養価がこうなって」みたいな話がよくある。良質な食品を取り入れることで食の健康が改善される事実は否定しない。

だが往々にして「健康的な食事をしているから、不健康な食事も許容する」となっている人も少なくないのではないだろうか。日頃は食事に生野菜を取り入れるのだから、昼間はハンバーガーに、夜はラーメンを許容するという具合に、「健康的な食事」がジャンクフードの免罪符のようになっているケースである。

筆者は30歳を超えて大事なのは「いかに健康的な食品を食べるか?」より「いかに不健康なものを食べないか?」に重点を置くべきだと考える。その根拠を述べたい。

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30代以降は肥満との戦いが始まる

10代、20代の時はどれだけ食べても細身だった人も、30代後半に入ると状況は一変する。相当意識的に食事をしなければ、簡単に太ってしまうのだ。

「人目なんて気にしなければいい」という意見もあるかもしれないが、日本はアメリカほどではないとは言え体型は信用を揺るがすことがある。

普段からストイックなことを発言するビジネスマンが太っていたら「あなたは食欲をまったく自制できていないではないか」と見られる。

ジャンクフードは食べない

問題は見た目だけではない。肥満はありとあらゆる生活習慣病の入り口という点にある。健康の危険信号が肥満という形で知らせてくれていると考え、体型維持に努める必要がある。ジムで多少汗をかくくらいでは、摂取カロリーには遠く及ばない。そのため、とにかく肥満につながるものを徹底的に排除することが最重要である。

ジャンクフード、デザートを控えることから始めるといい。「仕事が忙しいから」とラーメン、パン、お菓子、牛丼を常食している人は、「目先の時間と健康寿命を交換している」と考え、多少面倒でもできるだけ自炊で野菜を多く使用する方がいい。

一般的に食事の手間と健康は比例する。これをするだけでかなり改善されるが、できれば白米の代わりに玄米に変えたり、脂質や糖質の多いものを避けて、大豆を積極使用するのがおすすめだ。筆者は上京して親元を離れたときには、玄米と大豆を水につけて少し発芽させて調理していた。栄養価が高めるためである。

少食に慣れる

そして一番おすすめしたいのが「少食に慣れる」ということである。体の代謝の老化は食欲の衰えより圧倒的に早いため、20代の感覚のまま30代後半以降も食べると健康を害する。だから30代に入ったら意識的に少しずつ少食に慣れる習慣を勧めたい。

少食はメリットづく目だ。食費が減り、食後のパフォーマンス低下を防ぎ、さらには次の食事をおいしく感じられる。また、あらゆる研究結果が少食に抑えるとサーチュイン遺伝子が稼働して、細胞の若返り効果まであることを示している。いいことしかない。

世の中のメディアは、「この夏野菜がすごかった!」みたいに「これさえ食べれば健康になれる」と言わんばかりに一点突破主義で健康を推してくる。これを真に受けると健康と称されるものを大量に食べてしまうことにつながり、不健康になるという皮肉な結果が待っている。年齢を重ねたら「いかに健康的なものを食べるか?」ではなく「いかに不健康なものを食べないか?」の方が重要だと思うのだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。