燃料ぎりぎりしか積むことをしない航空会社だった
経費節約で乗客の生命を危険に晒すことも厭わない最もケチな格安航空ライアンエアーのケチぶりを発揮したのが2009年から2012年の期間だ。飛行する際に目的地まで飛ぶのに必要な燃料をぎりぎりしか積まずに飛んでいたということだ。
その狙いは、目的地の上空に接近した時点で着陸する飛行機で混雑していると、残りの燃料が少ないということを管制塔に伝えて優先的に着陸の指示をもらうためだ。このずるさはライバルの航空会社のパイロットからも指摘されていたという。(2016年12月3日付「エル。エスパニョル」から引用)。
昨年度、スペインで乗客から最もクレームの多い航空会社としてライアンエアーは22.7%で2位にランキングされた。1位はブエリングの25.8%であった。(2023年1月17日付「オステルトゥル」から引用)。
乗客の手土産にも追加料金を取るズルさ
そして今、バレアレス諸島パルマから離陸するライアンエアーにクレームが殺到している。理由は、マジョルカ島の特産品である渦型の甘いお菓子パン「エンサイマダ」をチェックインの際に手荷物として追加料金を取るからである。通常25㎝角または30cm 角のこのパンが入ったこの箱1個につき45ユーロ(5400円)の追加料金を徴収するのである。それはエンサイマダそのものよりも高い料金になる。
スペインの空港運営企業アエナ(AENA)は手荷物については各航空会社のポリシーには関与できないとしている。が、問題は各航空会社によって扱いが異なっているということである。例えば、エアーヨーロッパは一人の乗客が2個のエンサイマダを無料で一つのパッケージにまとめて持ち込みできる。ブエリングも同様にひとり2個を持ち込みできるとしている。一方、イベリア・エクスプレスは一人につき1個が許可されている。
エンサイマダの生産業者は差別されているとして憤慨
日毎4万個のエンサイマダを生産しているマジョルカ島のこの製造業者はライアンエアーの規定に不満を表明している。ところが、同航空会社ではチェックインのあと保安検査を通過した後のゲート付近にある店でエンサイマダを購入した場合は機内に無料で持ち込めるとしているとしているのだ。
バレアレス州政府の観光省ではライアンエアーとパン及びケーキ製造業者連合との会合を設けるべく接触が開始されている。
パルマのサンジョアン空港からライアンエアーはヨーロッパ広域にわたって84の路線をもっており、エンサイマダ製造業者にとって同航空会社との交渉は今後の売上に多大の影響を及ぼすのは必至である。
それにしても、ライアンエアーのケチぶりには徹底している。ところが、路線の多さと料金が安いというのは魅力で、不満があってもライアンエアーを利用せざるを得ないという利用客が多くいるのも確かである。