世の中の変な人たち:日本に限らず規律社会になってきた世界

福岡から台湾に向かおうとした中華航空で日本人女性客が日本語のできる乗務員がいないことに腹を立てて大声を出し、飛行機から降ろされました。この人は変な人でしょうか?私の感覚からすれば変な人ではなく、単に自己制御できない壊れた機械時計のようなものだと思います。

数多くの強盗事件の主役だった10代、20代の若者たち。彼らは絶対に成功しないであろう大胆不敵な強盗をすることを何とも思わない変な人たちでしょうか?これまた違うと思います。「良心の呵責」がわからない未熟児のようなものです。

夏になると増える痴漢や盗撮をする輩はどうでしょうか?彼らは種が持ち合わせる本質的行動を自制できないだけです。同様に酒やタバコ、ギャンブル、金銭感覚まひの爆買いなども同質なわけで、かつてはそれらを「ビョーキ」、つまり過剰な行動者と表現しました。

私が「変な人」と思うのは社会の一般許容枠からはみ出る人、だけど、そのはみ出し方が論理的で、なるほどと思わせる人たちです。例えば堀江貴文さんは変な人かと言えば全然普通の方だし、ひろゆき(西村博之)さんはコメント上手だけど自分から生み出す人ではありません。メディアに彼らがよく顔を出すのは一般人がその考えを理解できるからでもしも彼らが「えっと驚く」発言をすれば大炎上して彼らの人気は落ちるのです。つまり、人気者である以上、普通人でなくてはいけないという一定の原則があると考えています。

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私は東野幸治さんが大好きです。それは彼の司会と誘導話術があまりにプロだからなのですが、とてもまともな発想だからこそ務まるのだろうと思います。他にひるおびの恵俊彰さんも普通だから勤まる司会業なんです。

同様にニュースバラエティ番組にレギュラー出演する人たちも普通の考えを普通に議論しているだけです。高橋洋一さんが一部メディアで引っ張りだこなのは数学者というバックグラウンド、政府や財務省の話題に精通するだけでなく、引き出しや情報量が多いからで彼ほどまっとうな人はいません。

では変わっているなぁ、と思わせる人は誰か、といえば成田悠輔さんは面白いです。最近、一時ほどの人気が無くなったのは「高齢者は集団自決せよ」発言で炎上したからでしょう。つまり、一般人が理解できない発言についていけなくなったからです。彼が今後、自らの道を歩むかどうか、瀬戸際にあるのですが、もしも社会に迎合して発言にトゲが無くなるぐらいなら彼はメディアに出ず、もっと自分らしさを磨き続けるべきだと思います。

変わっている代表格はイーロンマスク氏で異論は少ないと思います。では彼はなぜ、あれだけお騒がせ発言を繰り返し、世間が彼のビジネス行動に振り回され続けるのでしょうか?私の見方は彼が人気者にも金持ちにもなりたいと思っていないからなのです。今の彼の地位は彼の信念の結晶であって、たまたま金持ちになったのです。またツィッターの買収などは彼が自分のお金と熱意と責任でやっていることなので外野が口を挟めないのです。

昔、フェイスブックのお友達の数の多さを競うようなことがありました。今はインスタやユーチューブのフォロワーの数でしょうか?良い意味での「変な人たち」は世間体を気にしないので友達がいないというケースはしばしばあるのです。フォローが多いということは普通過ぎるという意味であって、変な人たちの発言は賛否両論、下手をしたら炎上するため、ポピュラーにならないのです。

アインシュタインは比較的孤独な男だったとされます。大学の卒業時の成績はほぼ最下位に近かったようです。が、彼には物理学以外に音楽があったことは案外知られていません。バイオリンをピアノ演奏に合わせて奏で、趣味の領域を超えていたとされます。案外理系の人に音楽や絵画に精通する人がおり、私の知る人にもそんな人が若干名いますが、その人たちは概ね大成しています。

日本に限らず、世界が規律社会になってきており、「変な人たち」が活躍する場がなかなか狭くなってきたような気がします。そんな変な人たちが世の中のスパイス、いや時としてメインディッシュにすらなります。考えてみれば、私も若い時から友人は少ないのですが、たぶん、その理由は迎合しないからなのでしょう。そんな生き方に私は満足です。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年6月11日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。