きのう日銀総裁の記者会見より大きな注目を集めたのは、警視庁捜査1課の元警部補、佐藤誠さんの会見でした。彼は木原誠二官房副長官の妻(郁子さん)の夫の怪死事件の再捜査のときの捜査官です。
しかしコミュニティノートがついているように、佐藤さんは「事件性がある」(殺人事件だ)と断定しただけで、その犯人の名前はあげていません。その根拠も「勘です」というだけ。
週刊文春の記事で注目されるのは、当初は郁子さんが殺したとほのめかしていたのに、今週号では佐藤さんが「女の手によるものではない」といい、ホシとしてZ氏という人物をあげたことです。
Z氏とは何者でしょうか。彼は文春の取材に「お前ら3人ぐらいどうってことねえんだ! 昔、何やっとったか知っとんのか! ……ボクサーだよ。ボクサーだけじゃねえぞ。喧嘩は得意なんだよ」と言ったそうです。
文春の一連の報道について木原副長官は会見を開いていませんが、日弁連に人権救済の申し立てをし、松野官房長官は「事実無根だ」とコメントしました。
ただ2018年の再捜査が不自然な形で打ち切られたことは確かで、警察庁長官が「事件性がない」と断言したのも不自然です。捜査妨害の証拠もありませんが、郁子さんが事情聴取を受けたことは否定していないようです。
佐藤さんの会見では、文春の記事にはない新事実は出なかった。当時の捜査官にしては物的証拠が何もなく、これでは再捜査しても、犯人を逮捕するのは無理でしょう。
郁子さんが直接関与していないとすれば、文春の報道は人権問題になる可能性もありますが、殺人の疑いもある事件です。木原さんがきちんと説明する必要があるでしょう。