社員数、売上高、労働時間はできるだけ減らしなさい

株式会社の存在意義とは、利益を上げ、社会に貢献することだと思っています。そして、その利益もなるべく変動することなく、安定的に増えていくのが理想です。

とすれば、利益ではなく、社員数や売上高を競っている経営者は、何かが間違っていると思います。

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社員の数が多ければ多いほど、固定費の比率が高まります。給与だけではなく、オフィスのスペースも必要になり、損益分岐点を引き上げることになり経営は不安定になります。

同じ利益水準であれば、少ない社員の方が安定した経営になります。

また、同じ利益であれば、売り上げが小さければ小さい方が、利益率が高く効率的といえます。

利益が1億円なら売上10億円よりも5億円の方が、利益率が高く効率経営と言えるのです。

売り上げが多いのに、利益が上がっていないということは、低収益なビジネスに時間を取られていることを意味します。

利益とは顧客からの「感謝の印」です。

利益が伸びないのは、顧客からリスペクトされる仕事になっていないからです。

利益を伸ばすには、自分の会社にしかできないオンリーワンの価値を提供することです。そうすれば、レッドオーシャンの価格競争に巻き込まれる事はありません。

そのために必要なのは、自分の得意な利益率の高い仕事を選択し、利益率の低い仕事は捨てる「選択と集中」です。

社員をたくさん雇って、その給与の確保に奔走する。あるいは、大して利益の上がらない商品の売り上げを増やすために、労働時間を費やして消耗する。

これらは、ビジネスのやり方としては、賢明とは言えません。

利益率の高い仕事に絞り込み、小さな労働コストでできるビジネスを構築する。

そうすれば、必然的に労働時間も減少します。

企業経営とは、従業員の雇用維持や取引先の都合に合わせるような「ボランティア活動」ではありません。

経営者が考えるべき事は、事業規模を拡大することではなく、社員数、売上高、労働時間を減らすことです。

年商や社員数が大きいことは良いことだという「幻想」は早く捨てるべきです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年11月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。