メディアに掲載されている「株価の予想」はあてにしない方が良い

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年初から日本株の急激な上昇が続いています。昨年も日経平均株価は28.2%の大幅な上昇となりましたが、今年もそれを上回るペースで株価の上昇が期待されます。

日本経済新聞では年初に恒例の経営者アンケートを行っています(図表も同紙から)。日本を代表する大企業の経営者が、今年一年の予想をするものです。

日経平均に関しても、各人の年間の高値と安値の予想が掲載されていますが、今週の相場上昇で早くも予想が外れている経営者もいます。

メディアに掲載されているこの手の予想を見るたびに感じる事は「株価の予想はあてにしない方が良い」ということです。

そもそも、経営者に限らず、この手の予想をメディアで掲載しているエコノミストやストラテジストと呼ばれる人たちは、予想が外れても責任を取る必要がありません。

後から予想が正しいかどうか検証されることもほとんどありません。

また、自分の資産を投資してリスクをとっているわけではありませんから、外れても経済的損失も無いのです。

資産運用はギャンブルのように予想して当てにいくものではありません。マーケットの変動にかかわらず、安定した収益を得られる方法で継続するのが正しい方法です。

日本株に関して注意しなければいけないのは、日本の国としての衰退と日本株の値動きは、必ずしも連動するものではないと言うことです。

株価とは企業の将来の収益に対するマーケットの予想から形成されるものです。日本経済がデフレから脱却し、企業が構造改革を進め、海外からの収益で業績を向上させる。それが実現できれば、人口減少と高齢化で衰退する日本の将来と関係なく、株価が上昇してもおかしくはありません。

経営者アンケートでは、日経平均の最高値が4万円を超えると予想した人は1人もいません。

しかし、出遅れている日本株に外国人投資家や日本の個人投資家のNISAの資金が流入すれば、全員の株価予想が外れる可能性は、かなり高いと思います。あ、これは私の株価予想ですから、やっぱりあてにしてはいけません(笑)。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年1月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。