7日、世田谷区議会の子ども・若者施策推進特別委員会で、昨年12月13日、区内の認可外保育施設で、生後4ヵ月の乳児が死亡したことについて報告があった。私はこの委員会の委員ではないが、急ぎ傍聴した。
委員会室には報道各社が詰めかけ、注目度の高さを感じさせた。乳児の保護者は同時刻に記者会見を開いており、そちらにも多くの記者が向かったようだ。子を育てる親として、とても他人事とは思えない。我が子の可能性もあった。何よりも心からご冥福をお祈りしたい。
世田谷区は令和2年の児童相談所開設に伴い、認可外保育施設に関する指導監督権限を都から移譲された。当該施設にも毎年、立ち入り検査を実施してきたが、大きな問題はなかったと区は答弁した。
ただ、度々、物が散らかっている様子などが窺えたとのことで、これを聞いたとき、保育資格を有する施設長と臨時職員2名の計3名体制で9名の子を見るということに、まず無理があったのではないかと感じた。
施設長はメディアの取材に「うつぶせ寝をさせていた」と答えているが、言うまでもなく、うつぶせ寝は赤ちゃんを育て始めたときに、「やってはいけないこと」の筆頭に教えられるもので、私も必ずゲップをさせることと共に、常に気をつけていた。
それが保育施設で行われていたのに、区が指摘できなかったとすれば、検査の仕方に問題があったと言わざるを得ない。うつぶせ寝については、預けている複数の保護者が証言しており、施設で常態化していた可能性が高い。
死亡事故について、保坂区長は以下のようなコメントを出している。
世田谷区では20年前、区立保育園で死亡事故が発生している。その時以来、世田谷区は神経質なまでに「保育の質」にこだわり、子どもたちの安全、安心に気を配ってきたはずだ。
昨日の委員会での担当部長の悲痛な表情は、何よりもその心中を物語っている。保坂区長自身も「いのちの政治」を掲げてきた。
そうであれば、保坂区長には施設の検査方法はもとより、保育行政全般の見直し・総点検をお願いしたい。世田谷区の「保育の質」が、ただの空念仏になるかどうかは、今回の徹底的な調査・検証とそれを踏まえた実行にかかっている。