カチンと来る話し方の特徴

黒坂岳央です。

世の中にはいろんな価値観、いろんな考え方の人がいることは理解しつつも「この話し方をしてしまうと大抵の場合、相手から嫌われる」という話し方があると思っている。

特にビジネスの場において、相手から悪印象を持たれる話し方をするとチャンスを逃してしまうことだってある。しかも本人にはまったく悪気がなく、ミスをした指摘も受けないまま嫌われるのでずっと気づかないままということは少なくない。これはとても怖いことだ。

自分自身も気をつけないといけないので、自戒を込めて持論を展開したい。

maruco/iStock

相手の専門領域に踏み込む

1つ目は相手の専門領域に安易に踏み込んでしまう話し方だ。実際あった話としては、フルーツの品種改良、開発をしている専門家に対して取引先の業者の営業マンが「フルーツの開発で一番大事なことは~」と発言してしまったのである。これで一発アウト、「軽々しくよく知りもしないことをいう人はビジネスマンとして信用できない」となってしまったのだ。

一体、何が相手の癪に障ったのか?営業マンは業界のセールスや動向については確かに詳しい。だが、目の前にいるのは品種改良のプロ中のプロ、専門家である。「最近はこのフルーツの売れ行きがよくて~」といった売れ筋の話をするなら何ら問題はない。営業マンの専門領域だからだ。しかし、こと品種改良については専門家の知識、経験、技術に遠く及ばない。同じフルーツという領域でも知識量はケタ違いである。

本来、その営業マンは背伸びして知った風を装うのではなく「私は品種改良について門外漢なので、もしも自分の認識が間違っていたら恐縮ですが~」という具合に「あなたの方がこの領域では上ですよ」と示すための枕詞をつけて相手を立てた方が無難である。自分がよく知らない領域について、自分より詳しい人を前に迂闊に話しすぎない方がいい。「何もわかってないのに軽々しく発言してしまう人」と思われたらその瞬間おしまいである。

隠しきれない承認欲求

ビジネスや営業の商談において、「それ必要?」と感じる隠しきれない承認欲求を感じる相手がいる。

筆者は新しいITサービスについて商談を受けることがあるが、営業を受けるこちら側のニーズを一切無視して、その間ずっと話し続けることがある。

自社サービスの魅力を一生懸命伝えようと熱意を感じるなら何も問題ないのだが、そうではなく営業の自分がいかに営業成績が良いかとか、この分野で物知りかを発表する場にしていると感じることがあるのだ。ビジネスマンの個人的な承認欲求を消化することに時間を使わされるのはたまらないし、どれだけ良いサービスでも少なくともその営業からは買いたいとは思わなくなってしまう。

加えて、承認欲求が強すぎると「この部分ってどうなのですか?」と純粋な疑問を投げた時にムッとした感じで強めに返されてしまうことがある。おそらく相手から疑問を持たれることを「なんで自分の話を理解しないのか!」と受け取った可能性がある。

承認欲求が強すぎると対人コミュニケーションにおいて矮小さを感じさせてしまうので注意が必要だ。

「いや」「でも」と否定語が多い

相手との会話で話の頭に必ずといっていいほど「いや」「でも」という人がいる。そして後続の話の内容はその否定語を受けてのものではないことが多く、単なる口癖になっているだけだと推測ができる。

しかし、これはやめた方がいい。筆者はコールセンター勤務時代に話し方の研修で「Yes But法」という話し方を訓練されたので余計に気になってしまう。相手の話はまず受け止め、その後に否定する根拠を伝えた方がいい。最初に否定で受け止めると相手からは「この人と会話するといつも気分が悪くなる」という印象を与えかねないのだ。

なんでも否定から入る本人に悪気がないことが多い。相手を否定してマウントを取りたいという欲求などもない。ただの話し方のクセだ。しかし、否定されて嬉しい人はいないので少なくとも会話の頭には持ってこないほうが無難だろう。

大人になってからは話し方をなかなか矯正してもらえない。特に起業すると本人の気づかないまま相手にカチンと来る話し方を続けて、知らない内に損をしてしまう場合がある。これはとてももったいないことだ。人が介在しないビジネスはほぼ存在しないので、大人になった後にこそ話し方を勉強する価値はあるだろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。