領収書にシャチハタ印は必要ない

ペーパーレス化が進んだとはいえ、日本は相変わらずの印鑑社会です。

契約書や請求書にも未だに印鑑が必須という会社も多いのです。レターパックで送られてきた書類に今日も割印や押印して返済する手続きをやっていました。

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契約書のような重要な書類には、必ずと言って良いくらい印鑑が押されています。

しかし、印鑑が押されていたとしても、それが実印のように登録されたものでなければ、実質的な効力はありません。むしろサインなどの直筆の署名を入れた方が信用が高まると思います。

それでも契約書などの重要な書類に押印するのは、セレモニー的な意味もあると思うのでまだ理解できます。

本当にわからないのが、売店などで領収書をお願いした時に、店員が自分の名前の入ったシャチハタを押す慣習です。

最近も売店で買い物をして領収書をお願いすると、印字したレシートにポケットから取り出したシャチハタ印をキャップを外して押してくれました(写真)。さらに、押すだけではなくインクが滲まないようにするために裏紙で押さえてくれたりしています。

でも、今回対応してくれた「矢野」さんというスタッフのシャチハタ印を押されても、領収書としての価値には何の変化もありません。

丁寧な仕事ぶりは日本人ならではのきめ細かさですが、そもそも領収書には押印は必要無いのです。現にタクシーの領収書はプリントアウトされたものをそのまま手渡ししてくれます。JRの切符を買った時も券売機から領収書が出てくるだけです。

必要の無い作業をしているだけで、後ろに並んでいる人には時間がかかって迷惑をかけてしまい恐縮してしまいます。そもそも仕事のやり方として非効率です。

そう言えば、私が子供の頃は自宅で宅配便の荷物の受け取りをする時も、朱肉のいらないシャチハタを使っていたことを思い出しました。

と、ここまで書いてふと思いました。「シャチハタ」という言葉は今でも普通に通じるのでしょうか?

いずれにしても印鑑照合することのない意味の無い押印は、できる限り無くして欲しいものです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年4月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。