響くプレゼン、響かないプレゼン

インナーサークル資産設計実践会は、海外に視察に出かけるだけではなく、毎月国内で月例会を開催しています。各分野のスペシャリストがゲスト登壇して、プレゼンテーションをしてくれます(写真はカンボジアスタディツアー)。

素晴らしい案件を紹介してくれる方ばかりを厳選しているのですが、その伝え方によって集まっている個人投資家に響くプレゼンと響かないプレゼンがあります。その違いがどこにあるのか、考えてみました。

まず、プレゼンテーションの構成です。毎回たくさんのゲストがくるので、自分の伝えたいことをコンパクトにわかりやすく伝える必要があります。

そのために大切なのは、最初にプレゼンの全体像を伝えてから、それぞれの細部について説明をしていくことです。「全体→細部」という流れにすることで、聞いている人が迷子にならず、話に興味を持ち続けることができます。

次に、聞き手のニーズに合った話をすることです。

個人投資家の集まりであれば、知りたいのは成功する可能性の高い投資案件の詳細です。一般的なマクロ経済データや過去の実績だけを説明されても、自分にもそんな投資機会が無ければ聞く意味はなくなります。

聞き手が「自分事」として強い興味を持つのは何か。そのニーズをよく考えて、話をそこにフォーカスさせることです。

そして3つは資料の見せ方やトーク力です。

例えば、プロジェクターに投影する資料が小さいと文字が読めないので興味を失います。また、配布資料が多すぎても読み切れません。投影資料も配布資料も少ない文字数でわかりやすく説明することが大切です。

また、話し方についても慣れていない人は米議会での岸田首相のようにスクリプトを作って、録画して何度も練習するくらいの準備は必要です。時間配分を間違えたり、肝心なことを伝え忘れたりすると致命傷になります。

Nattakorn Maneerat/iStock

そして何より大切なのは、プレゼンターの笑顔と余裕です。不安そうな顔をしていたり、質問にオドオドしてしまうとプレゼンの内容自体に不安を感じさせてしまいます。ニコニコしながらゆったりと説明し、質問もユーモアを交えて上手に打ち返す。そんなやり取りを見て聴衆は安心するものです。

せっかくの良いコンテンツが響かないプレゼンによって過小評価されてしまうのは何とも勿体ないことです。かくいう私も他の方のプレゼンの良いところを吸収して、ブラッシュアップしていこうと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年4月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。