ルールは強制できるが、マナーは強制できない

1月から住み始めた晴海フラッグは、以前住んでいた赤坂のマンションよりも色々な人がいます。

晴海フラッグ HARUMI FLAG公式HPより

例えば、同じフロアの住人で玄関を出た廊下に靴、傘、整理棚などの私物を放置している人がいます。玄関の周りに自分の庭のように私物を広げているので、美観を損ねています。

玄関前の自分しか使わないスペースだとしても、廊下部分は全て専有部ではなく共有部のスペースですから、私物を置くことはできません。

マンションの住人として「ルール」違反になる問題です。

一方で、エレベーターで一緒に乗った人が、降りる時に他の乗客を優先しないで自分だけ先にズカズカと降りていくことがありました。随分無礼な礼儀作法の人がいるなとがっかりしたことがあります。

あるいは一緒に乗っているエレベーターの中で、周囲への配慮無く大声で話を続けている外国人もいました。

これらの行動は「マナー」の問題です。その人自身が受けてきた教育や生育環境の投影ですから、人によって価値観が異なります。

だから、「エレベーターでは人に順番を譲れ」とか「周りに人がいる時は大声で話すな」と強制することはできないのです。

「ルール」を守らない人に対しては管理組合などを通じてルールを周知してもらって対応をしてもらうことができます。一方で「マナー」は難しい問題です。人の価値観はそれぞれ異なります。何がマナー違反なのかの基準にはこれが正しいという正解はありません。

自分のマナーを押し付けることは価値観の強要にもつながりかねません。

価値観の異なる人が集まれば集まるほど、このマナーの問題がクローズアップされることになるはずです。

どこまでが「ルール」で、どこまでが「マナー」なのか。その線引きを明確にして、ルール違反に対しては毅然とした対応を行う。そしてマナーの問題については、お互いに違いを認めて寛容になる。そうしないと住人同士のトラブルの元になりかねないと危惧しています。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年5月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。