ゴールデンウイーク期間中にフランスや中南米諸国を歴訪していた岸田首相が6日に帰国しました。
野党関係者からは税金の無駄遣いとの批判もありましたが、タイトな日程で、日本外交が軽視する傾向にあった中南米の国々との関係強化を目指す姿勢は評価に値します。
実際の岸田氏の外遊の成果はどうだったのでしょうか?
フランス訪問では軍隊同士の交流を推進する「円滑化協定」の交渉入りが合意されました。しかし、フランスの抵抗によって棚上げ状態になっている「NATO東京事務所」については何ら進展が見られませんでした。
日本の視点からすると「円滑化協定」や「NATO東京事務所」も対中抑止が念頭に置いた取り組みです。しかし、後者に反対するフランスが、前者の具体化にどれぐらいコミットするかは不明確です。
また、ブラジルを訪れた際には、中国への接近を強める中南米諸国への警鐘を鳴らしました。しかし、ルラ大統領はブラジル経済への日本の貢献が足りないとして苦言を呈していました。
南米は経済貢献を重視 首相、中国意識「法の支配」訴えたが―:朝日新聞デジタル
岸田首相は4日午後(日本時間5日午前)、フランスに続いて訪れた南米で全日程を終え、帰国の途についた。グローバルサウス(新興・途上国)との連携について成果を強調したが、経済力が陰る中、存在感の低下とい…
岸田氏がブラジルの次に訪れたパラグアイは南米で唯一台湾を国家承認している国でした。パラグアイ大統領との首脳会談で岸田首相は「一方的な現状変更は許されない」という原則を相互確認したみたいです。
しかし、中南米への外交攻勢を仕掛ける中国を前に、経済支援の大きさではなく、「環境・人権」で勝負する日本がどれほど魅力的に映るのでしょうか?
支持者からは「外交の岸田」ともてはやされる岸田首相ですが、自身の政治生命の延命を図るためには、国内での取り組みがどうであるかが重要です。