今回の政治資金規正法改正がもたらすこと

小さな記事ですが、岐阜の美濃加茂市議会の副議長が外遊先のオーストラリア ダボ市の市長らと懇親会の二次会で市長の娘にセクハラをしたという報道が不思議でしょうがないのです。当の副議長はカラオケ屋でパフォーマンスをしていて何らかの理由でマイクの扱いがセクハラ行為だったとされます。副議長は否認をし続けていたものの副議長を辞任しました。不思議なのは何故、市長家族も連れての夜の接待だったのでしょうか?副議長の日本的パフォーマンスなんて見たくないし、もしもそのような疑惑が生じたなら副議長が直接、ダボ市市長と娘に謝罪すればよいのです。問題解決能力もないなら企画し同行した市長のセンスが最も問われるべきでしょう。これこそ日本がいかに国際化していないか顕著なケースです。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

座り心地の悪い株式市場

想定通り今週の北米市場は堅調な動きでした。次の節目は5月15日のアメリカ消費者物価指数、および22日のエヌビディアの決算になります。欧州や英国、カナダの動きを見るとインフレは沈静化傾向なのでアメリカだけが異次元の動きになるとすればFRB高官が「高金利を維持する」と言い続けることで心理的に雇用者賃金の上昇圧力をかけ、住宅の高騰を招く想定外の展開が繰り広げられているとみています。一方、エヌビディアの決算は蓋を開けてみなければ何とも言えませんが、個人的には悪くないだろうとみています。半導体需要も高く、AI向け投資はまだしばらくはブームになるとみています。

今を疑心暗鬼の市場とするならば、短期金利が長期金利を上回る逆イールドが戦後最長の1年10か月も続いている点でしょう。過去11回の逆イールドでは10回が景気後退と株安だった点は無視できない事実です。一方で市場では景気はソフトランディングするだろうという期待感もあります。では北米にいるお前はどう感じるのか、といえば物価とサービスを含めたモノの価格のバランスが悪すぎると思います。アメリカの物価だけ異次元の世界に居続けることが可能かと言われれば別の意味のバブルではないかという気もします。

ハイテクの主要企業は毎年定例行事のように自社株買いを発表し、株価に刺激を与えます。特にアップルが先日発表した17兆円は史上最高ですが、業績がイマイチ、社内もブラックボックスの同社がなぜアメリカの象徴企業として君臨できるのか、それが私には理解できないのです。事実、クックCEOの交代の噂もありますが、決め手となる内部昇格者はいません。外部招聘は絶対にないとされます。投資家からすれば手詰まり感強い中、見直されているのがユーティリティ企業とか資源関連株。こうなると座り心地は相当悪いと言わざるを得ません。

今回の政治資金規正法改正がもたらすこと

政治資金規正法改正案について自民党と公明党の意見が大筋で合意し、次は野党との調整に入ります。これも岸田首相が後ろで「今国会で絶対に通せ」と指示しているはずで自民党は野党に多少譲歩してでもこの問題に一旦、決着をつけるとみています。与党合意案を見る限り、それなりに厳しい規制になっていて議員も今後はワイルドな動きをしにくくなるでしょう。これはとりもなおさず、議員が小粒になるともいえるのです。声のでかい奴の意見が通るとされるのと同様、議員の世界では「金のある奴の意見が通る」という常識が変わるということでしょうか?

国会議事堂 参議院HPより

そうなると議員の体質が大きく変化してくると思います。いわゆる昭和型の議員からクールで頭の切れる議員が求められる時代になるでしょう。また外国で生活や仕事をした経験者や国際感覚をもつ議員が個人的には全国会議員の2-3割は欲しいと思います。また政党が議員をどこまで縛るのかということを考えると日本が多党化する可能性も否定できないと思います。「おらが政党」です。それはばらばらの政治で焦点ボケが生じるともいえます。

自民党会計責任者だった松本被告の公判が始まりました。この方の仕事は忖度一筋だったのだと思います。つまり松本氏が議員との関係において全ての事情と問題点を知っていたからこそ、細心の注意をはかり何も物証や事実がなかったように処理をしたということです。政治家の会計責任者ならそれをするのが業務上の最大の役割。会計作業そのものは簿記がわかる人なら誰でもできるわけでほぼ真っ黒なお金を手品のようにきれいに見せるのが松本氏が仕事師として得たポジションです。ですが、議員からすればトカゲのしっぽ切り。松本氏は一体いくらぐらい給与をもらっていたのでしょうか?命かけて頑張ったのにたいした額じゃなかった気がします。

ウクライナ問題、重要局面入りも

2年以上戦争をやっていると世の中のトーンがずいぶん変わるものだと思います。当初は第三次大戦とか、みんなでNATO加盟を急いだり、欧米が応援したりと大変でした。ところが争いの構図が見えてきてプーチン氏の野望もわかってくる中で局地戦という意識が根付いたと思います。ただ仮にロシアがこの戦いで一定の成果を収めて休戦になった場合、次の手を考える可能性はあると思います。ジョージアが憎いと思っており、アゼルバイジャンとアルメニアを含めた3か国が政争のキーになる公算はあります。

ゼレンスキー大統領 ユナイテッド24HPより

しかし、そうであればアメリカはより一層興味をなくすでしょう。オバマ政権の時代からアメリカの影響力の低下は目に見えており、その上、現在はイスラエルの問題に注力しなくてはならず、ウクライナどころではないのは目に見えています。つまりネタニヤフ首相がガザ侵攻を止めなければ止めないほどウクライナは苦しむのです。そして遂にロシア軍が東部に侵攻し進撃を開始しています。過去の戦争の実績からポイントなる要所を崩されると東部2州はあっという間に占拠されます。そうなると聖戦を訴えるゼレンスキー氏には極めて厳しい結果となりかねません。第三国への仲介をしてもらったほうが良いと思います。

後記
私の長年の友人がカナダにきており、数日間、彼とべったりと時間を過ごし、大いなる刺激を頂きました。ハイプロファイルでインフルエンサーですが表に出ない人なので知る人ぞ知る方です。彼は寿司の世界の方ですが、圧倒的深堀をする方でこの20年、食へのこだわりを貫いてきました。数か月前に久々に西麻布の彼の店に行った際も「ここまでやられるとほかの店には行けない」というレベルです。そんな彼とビジネス哲学やビジネス思想を一日5時間も6時間も数日間、2人で話し合えたのは幸せというべきなのでしょう。ありがたかったです。持つべきはこういう友であります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年5月11日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。