反対意見や感想より代案を出しなさい

黒坂岳央です。

複数人でプロジェクトを進めるタイプの仕事をする時に、やってはいけないタブーがある。それはアイデアや代案ではなく、ひたすら反対意見や感想しか言わないことだ。

「それはすごく良い(悪い)と思います」
「そのプランはこういう点で問題があります」

こういったイメージだ。

必死に現状を打破するために頭を捻って一塁の望みをかけたくて意見を出す側には間違いなくイライラされてしまうし、ダメ出しや感想など聞かされても文字通り何の役にも立たない。「ではあなたの意見は?」と尋ねると「それはあなたが考えてください」とすぐ逃げ出す。何の生産性もない。

koumaru/iStock

反対意見や感想に価値はない

記事や動画につくコメントは問題提起や感想は大いに肯定される。「面白かった。楽しかった」「ここは間違っているのではないか?」、これは何も問題はない。なぜならこうしたコンテンツは作品発表であり、映画や漫画のようにユーザーからレビューされることで、クリエイター側の創作意欲を高めたり、方向性を確認できたり、気づきを与えるからである。

しかし、ビジネスの会議などで問題に直面した際はまったく異なる姿勢で取り組まねばいけない。課題にぶつかった時に求められるのは、突破するためのアイデアのみである。個人の感情を出されても「で?」となるし、反対意見を出されたら「その問題はとっくに認識している。まさしく、それを論じているのだ。反対意見を出すなら代案を」と返されてしまうだろう。

会議など、意見を出すべき局面で「何か言わなければ!」と存在感をPRしたいが代案やアイデアを出せない。とりあえず感想や問題指摘をしようと焦って発言するくらいなら、何も言わずに黙っておいた方が遥かにマシである。相手に自分のビジネスレベルが伝わってしまうためだ。

代案のある反対意見には価値がある

ここまで厳しい論調で話をしてきたものの、代案が添えられた反対意見には大きな価値があると思っている。もちろん自分自身は、何か反対をする時には代案を出すのはもはや義務と考えている。

たとえば国の政策について言えば、有料レジ袋問題やインボイス制度問題について記事で指摘をしてきたし、今でも同じ意見だ。レジ袋についていえば「買い物の時にマイバッグ持参は面倒だ」しか言えないのは個人の感想を怒りの感情に乗せてぶつけているだけなので、何ら生産性はない。

その一方で、代案を乗せれば傾聴に値する話に変わるだろう。参考までに取り上げてみよう。

日本におけるレジ袋はプラスチック廃棄量のわずか2%しか占めていないため、約8割レジ袋受け取り辞退が起きても全体的な影響度合いは極めて小さい。その一方で、デメリットとしては有料レジ袋施行後に万引き増加や、レジ袋を意識しての買い控えによる消費のマイナスが起きている。これはエコ効果というメリットをデメリットが上回っているのではないか?国は直ちにトータルとしての経済効果の測定を行い、メリットがデメリットを下回る結果が出たなら直ちに政策を修正すべきではないだろうか?

これが代案である。筆者はエコ問題の門外漢につき、内容に誤りがあるかもしれない。専門家が見れば鼻で笑う意見になっている可能性は否定できない。しかし、ただ問題を指摘する、反対するだけなら小学生でもできる。それ故にビジネスでは必ず自分なりの意見やアイデア、代案を出すべきである。

代案なき反対意見はただの愚痴に過ぎない。飲み会の場では話のネタとしてはありかもしれないが、ビジネスの現場で傷の舐め合いはただの時間のムダである。目の前の課題を突破するために必要なのは感想や反対意見ではなく、常にアイデアなのである。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。