「京都人の親切」を額面通り受け取って良いのか?

京都の宿泊先のホテルでチェックアウトして、ロビーのソファで寛いでいると、ホテルスタッフに「私共で何かお手伝いできることございますか?」と笑顔で話しかけられました。

近くのお店に歩いて出かけるのを時間調整しているだけだったので「大丈夫です」と答えました。

ところが、しばらくするとまた別のスタッフが同じように「私共で何かお手伝いできることございますか?」と話しかけてきます。

そこで、ふと思いました。もしかしたらこれは京都人のいけずな対応なのかもしれないと。

「京都のぶぶ漬け」という有名な話があります。

これは、京都人の家にお邪魔しているときに「ぶぶ漬け(お茶漬け)でもいかがどすか?」とすすめられたら、それは「早くお帰りください」という意味だそうです。

あるいは、京都でご近所さんから「お宅のお子さん、ピアノ上手になりはりましたな~」といわれたら、ピアノがうるさいから静かにしろという意味らしいです。

「私共で何かお手伝いできることございますか?」というのは、チェックアウトして用がないなら早く出て行ってくださいという意味なのかもしれません。

しかし、高級ホテルのスタッフが宿泊客に対してそんな婉曲的で意地悪な言い回しをすることがあるのでしょうか?

京都の人は何を考えているかよくわからないのですが、京都に限らず日本人の考えてる事は日本人でもわからないことが多いものです。

何かをお誘いして「結構です」と断られた時でも、本当は遠慮しているだけなのか、それとも本当にいらないと思っているのか。本心がわからないことが多々あります。

いずれにしても、このホテルのスタッフの方々の親切な一言の真意は、結局最後までわかりませんでした。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年6月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。