止まらない地球温暖化と異常気象:外苑再開発はCO2の観点からも論理的な代案

日本滞在中、昨年の同時期の訪日時と比べ暑さはそれほどでもなかったものの梅雨もあり、雨と湿気には嫌気がさしました。外仕事が多かったこともありますがヒートアイランド現象による暑さもあるのだろうなと思います。都心はコンクリートで覆われ、建物の反射熱もあります。かつては木造住宅で反射ではなく、吸収すらしてくれていたものが今はミラーのように跳ね返される感じがするといったら良いでしょうか?

CO2削減を目指し、政治家は様々な施策を提言、実行していますが、地球儀ベースに対する対策としてはどこまで太刀打ちできるのか、悩ましいというのが正直なところです。もちろん、それをやることはすべての人に温暖化問題を意識させるという意図もあります。その点では引き続き、支持をし続けなくてはいけませんが、我々は抜本的な別案を考えたほうが良い気も致します。

ところで都知事選の議論の一つに外苑の再開発が話題になっています。特に伐採について様々な議論が出ていると理解しています。あくまでも私見ですが、伐採は問題ないと考えています。まず、議論されている外苑の樹木は植林です。樹齢20年程度までの若い木はCO2吸収力が最も高く、その後下がっていくとものの本で読んだ記憶があります。読売新聞の記事にも「全国の森林面積はほとんど変わっていないのに、森林が吸収する温室効果ガスの量は、2020年度までの6年間で2割も減った。林業の衰退で、光合成量の少ない老木が増えたのが要因だ」とあります。私の考えが正しいなら植え替えることでCO2吸収力を高めることになり何ら問題はありません。

一部反対派の意見にあるように樹木が作る日陰や樹木から発生する蒸気、更には樹木が植わっているところは土なのでコンクリートの反射熱も少ないなどが重なり合うことで樹木のある所の温度は一般的に低いとされます。事実、外苑そばの内苑、つまり明治神宮の参道を先日歩いていたのですが、上を見ると参道をすっかり覆い隠すように原生林が生い茂っており、参道を含め、周りはほぼ土。当然ながらひんやりとまではいかないまでもカンカン照りとは雲泥の差の心地よさを感じるわけです。

外苑の再開発は植林の数が担保されていること、それ以上に明治神宮の内苑外苑の維持管理の費用の捻出という極めて難しい問題が今回の外苑再開発の根本の話です。もちろん、球場などの老朽化もありますが明治神宮には建て替える金がない、そこからスタートしているのです。では反対派の皆様に明治神宮参拝に「入宮料500円也」を課してもよいのか、という話にもなりかねません。外苑再開発問題は一部の人が一部分だけを切り取って声を上げていますが、それは違うし、新たな植林でみずみずしい若葉を見るのはCO2の観点からもも論理的な代案だと思います。

「視察」する蓮舫議員 立憲民主党HPより

温暖化については今後、更に加速度的な悪化を見込んでいます。気象について知識的に明るいわけではないのですが、いわゆる砂漠化は世界規模で進んでいくはずで、一部の地域だけが救われるとみています。その中で日本は世界でも有数の環境保持ができる国だとみています。日本の場合は北海道から沖縄までまんべんなく雨や雪が降り、四季を維持しています。(最近は秋と春が短くなったとは思いますが。)特に水が豊富である点は世界がうらやむ国であると思います。

個人的には都市開発において緑地面積を大幅に増やすことと建物の屋上緑化とその維持を義務化させルール作りが欲しいところです。以前、日本を代表する住宅メーカーの東京本社にお邪魔したところ、窓から見える屋上緑化部分が全部枯れていて誰も管理してない状態でした。住宅メーカーとして最低だと思ったのは私だけではないでしょう。

あと、冷房の使用は建物内を冷やす一方、室外機を通じてより温めるとすれば地域全体の温度管理を考えれば相対効果はゼロとも言えないでしょうか?本質的に冷やすという意味では地下室がベストです。

日本は地下を掘るコストが地上の2倍ぐらいかかることもあり、地下開発は思った以上に進んでいません。例えば地下鉄のコンコースなどを拡幅し、そこに地下のショッピングモールを設けるなどして地上との隔離化をするのも手でしょう。名古屋の地下街は有名ですが、東京は十分ではありません。池袋西口とか新宿のプロムナード、八重洲地下街などしかなく、規模も含め非常に限れていると思います。

地球温暖化対策は必要です。それを攻めの一手だとすれば、守りの一手も必要なのです。どう守るか、私は地下に潜るのは対策としてはありだと思います。不動産の仕事をしていて思うことが一つあります。それはアパートの一階窓には防火シャッターがついているのですが、自分のところを含め、多くのアパート一階の防火シャッターは「開かずのシャッター」と化しているのです。つまり住民は外の明かりを求めていないのではないか、という気すらします。精神衛生的には良くないのですが、シャッターが日差しを遮るという考え方もあったのかもしれません。

今までとは一線を画した案が待たれるところです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年7月1日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。