なぜスタバにはコンビニのような「クレームおじさん」がいないのか?

mikkelwilliam/iStock

最近カスハラ問題がクローズアップされているせいか少なくなりましたが、以前はコンビニのレジカウンターでスタッフを怒鳴りつけてクレームしているおじさんを良く見かけました。

 

私とほぼ同世代か少し上くらいの50代から60代くらいのシニアの男性が外国人のアルバイトスタッフを怒鳴りつけて詰める。見ていると怒りを通り越して、哀しげな気持ちにさえなったものです。

ところが、同じレジカウンターの接客でも、スターバックスではそのような光景を見かけたことは一度もありません。

何が違うのでしょうか?

スタバの接客で特徴的なのは、スタッフがフレンドリーに話しかけてくることです。

店員と顧客というビジネスライクでドライな関係ではなく、顔見知りや友達のようなフラットな立ち位置でウエットなコミュニケーションをしてきます。

これだとスタッフに対して上から目線で威張り散らすことはしにくくなります。

関係性をコントロールすることで、同じことをしていても相手の反応が変わってくる。これはカフェやコンビニのレジカウンターでの接客に限りません。

例えば、投資用不動産の販売営業で成果を出している人は、「お客様は神様」という下手に出る対応ではなく、顧客と友達のようなフラットな関係を作ることを意識して、そこからコミュニケーションして結果を出していきます。

フラットな関係が構築できると、営業を強気に進めても拒否されにくく、クレームになりにくくなるのです。

残念ながら多くの人は、相手との関係性によって、態度や対応を変えてしまいます。

自分の方が上だと思う見知らぬ人には、どうしても尊大で傲慢な対応をしがちです。逆にフラットで顔見知りの関係になるとそのような態度を取らなくなるのです。

もしスタバの接客マニュアルがそこまでの人間心理を考慮しているとしたら凄いことです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年7月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。