なぜネットフリックスの「地面師たち」は面白いのか?

久しぶりに面白いドラマを観ました。ネットフリックスで配信されている「地面師たち」です。大手不動産会社の積水ハウスが数年前に土地取引で詐欺事件に巻き込まれ55億円を騙し取られた事件をベースにしたフィクションです。

引きこまれるようにしてアッという間に全ての回を見てしまいましたが、これは地上波のドラマでは実現できない作品だと思いました。

まずキャスティングです。何より演じている役者さんたちが芸達者でリアリティがあるところがドラマに没入できて良かったです。

アイドル上がりの俳優さんの何だかわざとらしい演技が混ざりこむとそこで興ざめしてしまうのですが、個性豊かな人たちが実力主義で選ばれています。地上波であればピエール瀧さんなどは、大人の事情で出られなかったかもしれません。

外部の圧力などが無く、監督が自由にキャスティングできるのが、ネットフリックスの強みのように思います。

また、製作費も地上波に比べ多くかけられると聞いています。地上波が1本3000万円のところ、その数倍の余裕があるそうです。出演者へのギャラだけではなく、細かい描写にふんだんに資金投入できるのは、作品のクオリティを高めるのに役立ちます。

更に今回のドラマの元ネタは大手不動産会社が地面師に引っかかった詐欺事件です。

地上波のスポンサーとして誰もが知っている有名企業ですから、その会社の黒歴史をドラマ化しても地上波では恐らく放映することはできません。

つまりこの作品はネットフリックスというプラットフォームがあってこそ生み出されることができたコンテンツということができます。

ストーリーに関してはネタバレになるので詳しく書きませんが、リリーフランキーさんの最期のシーン、山本耕史さんの最期のシーン、そしてドラマの最後の壮絶な格闘シーンを見るだけでもこのドラマを観る価値があると思います。

社会派バイオレンス系なのに、不謹慎ながらなぜかユーモアのセンスを感じてしまうのです。

原作の書籍には続編もあるようなので、ネットフリックスでも是非続編を作って欲しいと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年8月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。