私はコース料理があまり得意ではありません。お寿司も本来はお好みで好きなものを注文して食べたいと思っていますし、フレンチであれば、前菜だけを3皿というように気分によって柔軟な注文ができるお店の方が好きです。
しかし、お寿司は今や「おまかせ」しか受け付けないお店がほとんどですから、諦めています。
三ツ星のフレンチレストランから足が遠のいているのは、食の好みがさっぱりしたものに変わったこともありますが、アミューズと前菜を食べて、魚料理、肉料理と注文して、最後にデザートといった形式的な堅苦しさも理由です。
また、1つの料理のジャンルに拘るお店より、伝統に縛られず新しいものを積極的に取り入れる方が、食事もお酒も楽しめます。
京都の東山にある和食のお店は、京都の和食の名店で修行された方がやっています。
しかし、お料理はかなり尖がっていて、途中でベトナム春巻きが出てきたり、最後にカレーが出てきたりと、引き出しの多いお店です。
本人がスパイス好きということが理由のようですが、和食の枠組みにとらわれないメニューが気に入って定期的に通っています。
また、今週初めて出かけた大阪のカウンターだけのお店は、ワインが主体でお料理はお任せコースになっていますが、途中でキャビアが乗った白いご飯(写真)が出てきます。
今回は今年の初物のぎんなんが入っていましたが、不思議と違和感がありませんでした。最後ではなく、途中でご飯というのはかなり変わった構成です。
気を衒うだけのギミックは興ざめですが、ジャンルを超えて様々な料理を取り入れるのはワクワクして楽しいものです。
このようなフュージョン料理と呼ばれるジャンルを超えたお店に通う一方で、お寿司、焼き鳥、鰻といった日本の伝統的なお料理では、気を衒わない昔ながらのやり方で頑固に仕事をするようなお店にも良く行きます。
伝統にこだわらない店、伝統を守る店。どちらの方向にしても、料理をする人の職人気質のマニアックな拘りが感じられるお店が好みです。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年8月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。