① 玄界灘を望む絶景の棚田「浜野浦の棚田」
九州の北岸の海岸線を撫でるように福岡から西へ車を走らせた今回の旅。
この旅をする中でぜひ訪ねてみたい場所がありました。
それが浜野浦の棚田。佐賀県北部、玄海町にあります。なんでも佐賀県遺産とのこと。棚田ファンとしては行かないわけにはいきません。数台しか止められませんが駐車場が整備されているのでそこに車を停めて歩いて展望台までやってきます。
それではここから見ることができる棚田の景色をご覧にいれましょう。
ほぅ…思わず息をのんでしまう美しい景色です。400年ほど前に川が作った狭い谷を開墾して作られた棚田。その向こうに玄界灘が望めます。全国のほかの棚田に比べて、上部は段差が大きく急峻な崖地に造られたという印象があります。
棚田は季節ごとに違った表情を見せてくれるのが魅力なのですが、この浜野浦の棚田は特に水を張った棚田が鏡のように見えたり、夕焼けが水面に反射する4月中旬ごろが特に美しいと言われています。その時期にはほかには何もないこの展望台が多くの観光客で賑わうのだそうです。一年で数日しか見ることができないこの景色。天気に恵まれなければ見ることができませんが、是非一度この目で見たいものですね。
② 潜伏キリシタンが拓いた世界遺産「春日の棚田」
ところ変わってこちらは長崎県平戸市。平戸島の北西にある春日(かすが)地区にある「春日の棚田」です。浜野浦の棚田を訪ねた翌日にこちらも訪ねました。
集落に向かう狭い道路を抜けるとそこに棚田が広がります。ここの田んぼは早場米で、もうすでに稲刈りがはじまっていました。台風シーズンが来る前に収穫を済ませてしまうのかもしれません。ちなみにこの日、平戸は好天でしたが東京では台風対策ののため新幹線が止まっていました。
春日の棚田がある春日集落は2018年「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産に登録されました。春日の棚田は江戸時代に稲作が奨励されたことに従い、ここに潜伏したキリシタンらが開墾して作られたものです。古くは教会もあったようですが、戦国時代に破壊されて以降、禁教令が解かれた後も再建はされていません。
春日の棚田は山から海に落ちていくように広がっています。浜野浦の棚田と同じように棚田の向こうに海を望むことができます。
とても小さな集落ですが屋根付きのバス停があって、バスが日に数便来るようです。年季が入った建物で、長きにわたってこのキリシタンの集落を見守ってきたんだなと感慨深くなりました。
平地の少ない国土の中で先人が苦労して切り開いてきた棚田。全国に点在していますがそれぞれ地形によって特徴があり、またそれぞれ背負ってきた歴史があります。棚田それぞれの「顔」を感じつつ棚田を訪ね歩くのもまた楽しいと思いました。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年8月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。