「明るい農村」は実は暗かったという現実

1980年代半ばまでNHKで朝の時間に「明るい農村」という番組が放映されていました。

「明るい・・・」というタイトルとは裏腹に、日本の農業が衰退していく時期の暗い現実を描いていたように記憶します。暗い現実をカモフラージュして、明るくなると良いなという願望がタイトルに込められていたのです。

NHKより

最近のSNSを見ていると、この明るい農村と同じ状態になっている人がいるのではないかと思う時があります。

経済的な豊かさを披露する人、自分がいかに幸せであるかをことさらに強調する人、パートナーとの仲の良さを公開する人、有名人との友達自慢をする人。

もちろん、そのほとんどの人たちは自分の気持ちを素直に表現していると思います。

しかし、中にはアリバイ作りのように自分の思いとは裏腹な投稿を繰り返している人もいたりするのです。

本当に経済に豊かな人は、その豊かさを不特定多数に自らアピールしたりはしません。むしろ資産があることを知られることを恐れ、こっそり静かに生活しているものです。

本当に幸せな人は、人前で声高かに「私は幸せだ!」などと叫んだりしないものです。ただ自分1人で幸せな気分に浸って、人に語る暇などないはずです。

その人が本音で語っているのか、それとも自己承認欲求やビジネス上のマーケティングのために仮面を被っているのかは、実際に会ってみないとわかりません。いや、会ってみたとしても、最後まで本音を語らない人もいるかもしれません。

本当の気持ちを推し量るのは簡単ではありません。

かく言う私も、SNSで自分の資産状況などをほのめかして書いてしまうことがあります。上記のパターンから言えば、そんな資産自慢をする人はたいした資産を持っていないということになります。

ウソを書いているつもりはありませんが、私の自慢話は小金持ちの戯言くらいに割り引いて流しておいてください(笑)。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年9月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。