食べログの「飲食店検索サイト」としての価値

飲食店を探す時にこれまで良く使っていたのは食べログです。

わかりやすく点数で評価が表示されて、場所も地図もすぐに見られて、初めて行く飲食店を探すのに便利なサイトだと思っていました。

ところが、いつからかスマホで食べログで飲食店検索すると、「標準(PR店舗優先)」に基づく表示がデフォルトになり、利用者の評価による点数ランキングを見ようとすると、初月無料の有料会員に誘導されるようになりました(写真)。

毎月400円の有料料金を払わないと、この食べログが勝手に決めた「標準」の順番ででしかお店が出てこないようになりました。

食べログの決めた「標準」とは、PR店舗を優先するということ。つまり、食べログに対して広告料を払っているお店を上位表示するということです。

食べログの価値は、ミシュランのようなガイドブックとは異なり、一部の調査員のような自称プロが勝手に評価するのではなく、客の投票によって選挙のような民主主義的なプロセスで評価が決まるところにあります。

サイトの利益を優先して並べ替えられたお店のリストとは、ランキングがお金で買える世界です。食べログならではの価値はありません。

毎月400円くらい払えば良いと思うかもしれませんが、お金の問題ではなく姑息なやり方がどうにも気に入らず、お金を払う気にならないのです。

また、そもそもの点数を決めるアルゴリズムもブラックボックスで、点数に違和感を感じることが少なくありません。算出方法に利用者には知らせていない「バイアス」がかかっている可能性もあります。

そんな食べログの代わりに飲食店検索に最近使っているのがインスタグラムです。例えば「新橋、寿司」というように検索をかけると写真からお店の情報を知ることができます。

気になるお店が見つかったら、それを食べログで念のため確認する。

このやり方の方が圧倒的に素敵なお店が見つかります。

食べログはグルメ「検索」サイトではなく、気になるお店の評価を確認するためのセカンドオピニオンとして使う。

いや、透明感と納得感の無い点数に対する違和感が強まれば、その価値もいずれ無くなるかもしれません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年9月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。