立憲民主党代表選に関する異見 --- 早坂 義弘

NHKの日曜討論で、枝野幸男さんは憲法改正について、以下のように述べた。

【日曜討論】立民代表選 憲法改正の考え方などめぐり論戦 | NHK
【NHK】立憲民主党の代表選挙に立候補している4人は、NHKの「日曜討論」で憲法改正の考え方などをめぐり議論しました。

枝野前代表は「自民党は残念ながら憲法改正を政局的に使っているとしか思えない。緊急事態への対応など法律でできることになぜ膨大なエネルギーを使うのか」と述べました。

以下、私(早坂)の考え。

① 東日本大震災では、発災から1ヶ月後に予定されていた統一地方選挙は、甚大な被害が発生した4県において71選挙が7ヶ月後に延期された。

大震災の混乱の中で選挙を行うことなど出来る訳もなく、この選挙の延期は極めて妥当なものだった。

地方議員と首長(知事・区市町村長)の任期は、地方自治法93条で4年間と定められている。任期の延長は地方議会の条例で定めることは出来ず、国会で特例法が制定され、任期延長が可能になった。

一方、国会議員の任期は、憲法45条46条で衆院は4年間、参院は6年間と定められている。

任期の延長は法律で定めることは出来ず、従って国政選挙の延期が可能であることを憲法に追記しなければ、大震災の混乱の中でも必ず国政選挙を行わなくてはならない。

つまり枝野さんの認識は誤りだ。

② 地方議会において、特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかな場合には、例外的に首長(知事や区市町村長)が議会の議決なしで意思決定することができる。

これを専決処分と言い、地方自治法179条で定められている。

わが東京都議会では新型コロナ対策で、計15回、専決処分を行った(東京都議会で、新型コロナ対策の通常の議決は31回だった)。

ちなみに専決処分の内容は、次に開かれた議会に報告され、議会の承認を得る必要がある。

他方で、憲法41条に「国会は国の唯一の立法機関」だと定められており、地方議会の専決処分に当たる権限は、総理大臣には認められていない。

ということは、深刻な感染症や大震災、あるいは戦争や内乱が発生した場合でも、国民を守る法律を制定するには必ず国会を開かなければならない。

しかしそれが困難な事態が起き得ることを、私たちは新型コロナや東日本大震災で学んだ。

そこで(地方議会における専決処分と同じように)総理大臣に法律と同じ効果を持つ緊急政令を発令する権限を認める内容を、憲法に追記すべきだ。

もちろん総理大臣が好き勝手に緊急政令を出すことが出来ないように、充分なしばりを掛けることは当然だ。

つまり枝野さんの認識は誤りだ。

かく言う私は立憲民主党でなく、自民党の高市早苗さんを強く支持している。

早坂 義弘(はやさか・よしひろ)東京都議会議員(杉並区、自民党)
1968年東京都杉並区生まれ。立教大学法学部卒業、明治大学公共政策大学院修了。2005年都議選に出馬し、初当選(現在5期目)。令和防災研究所理事、防災士研修センター(初代)代表取締役。ニックネームは「ミスター防災」。公式サイト