初対面の会話のハードルを下げる4つのコツ

黒坂岳央です。

筆者はかつて「雑談」が大の苦手だった。ビジネスなど明確な結論を出す話なら、言い方さえ気をつければ基本的に答えは明確である。だが、雑談は違う。そもそも結論を出すことが求められていないし、相手の情報がほとんどない状態からスタートする。それ故に初対面の人との会話は苦手だという人も少なくない。

自分の場合、現在は初対面で会話する相手はビジネス関係者ではなく学校が多いので、求められているのは「雑談」である。対応法を分析し、自分なりの最適解を導き出した。その方法をシェアしたい。

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1. 話さずに聞く

まず徹底するべきは「自分が話すのではなく、相手の話を聞く」ということだ。

上手に会話する、と聞くとほとんどの場合は「うまく話をしなくては!」と意気込んでしまい、その姿勢が一方的に喋り散らかして「話しすぎた…」と後で自己嫌悪するパターンだ。話しすぎただけでなく、いうべきでなかった失言を出してしまうリスクも高くなる。

だが世の中のほとんどの人は「自分のことを話したい」と思っていて、常に聞いてくれる相手を求めている。で、あれば簡単な話だ、自分が聞く側に回ればいい。先日もある保護者同士との会話の必要性が生まれたが、その時はひたすら聞きに徹した。雰囲気も終始柔和であり、「楽しかったですね。今度ぜひ飲みに行きましょう」みたいな流れになったのでやはりこの作戦は功を奏したと感じた。

さらにその際に有効なのは「話を深堀りする」。相手に質問を投げ、回答を受け、また別の質問を投げるという形式だと「この人は適当に質問投げてくるだけ」と相手の印象もよくない。

だが、1つ回答が返ってきたら、その質問について深堀りするのだ。たとえば先日、最近値上げばかりで家計のやりくりが大変だという話題になったので、「ですよね。最近はスーパーだけでなく、あのパン屋さんも結構値上げがありましたね。おすすめの安めのお店ってありますか?」みたいに共感を示しつつ深堀りする。そうすると相手も「ちゃんと話を聞いてくれている!」といろいろ話してくれるのだ。

2. 表情と声を明るく

初対面でとっつきづらい印象を持つ人は、性格がとっつきづらいのではなく印象がとっつきづらいことがほとんどだ。挨拶をしてもボソッと返すか、そもそもチラ見するだけで挨拶を返さない。表情は常に深刻そうにしている。これでは人が寄り付かないだろう。

特に中高年になると若い頃以上に気をつけて、表情と声は明るくした方がいい。無表情は「不機嫌そう」になるし、声が小さいと「怒っている」という印象を与える。つまり年を取ることでマイナスがより、強いマイナスになる。自分は中年男性というステータスなので、黙ってムスッとしていると「得体が知れない怖い人」という印象になりかねないので、できるだけ気をつけて明るく努めるようにしている。

やることは簡単である。会話は笑顔で、元気よく挨拶するだけだ。それだけで相手はすぐに警戒心を解いてくれる。

3. 嫌われる勇気を持つ

初対面の会話が苦手な人は「嫌われたくない。陰口を言われたくない」と過剰に恐れすぎていることで、人と会うのが億劫なのである。誰よりも自分自身がそうだったのでよく分かる。

しかし、それは最初からスパッと諦めた方がいいい。どう振る舞っても1割から好かれ、1割から嫌われ、8割は自分に無関心という法則を覆すことは不可能である。迷惑行為を慎み、常識的に行動して堂々とすればいい。下手をするとそうしたビクビクと及び腰になっている姿が、相手のイライラを買うこともある。

筆者はネットでポジションを取って自分の意見を発信しているので、しっかり嫌われてきた。ときには心無い声ももらう。しかし、だからといって嫌われて辛いなどとはまったく思わない。人間には慣れる力がある。要するに「嫌われ慣れ」するのだ。

人間が生きている以上、一定数から嫌われるのはどうしようもない。絶対に誰にも嫌われたくなければ、ネットの発信などやめて、誰にも関わらずに自給自足で家に引きこもるしかない。だがそんなことは現実的ではないし、人生は楽しくない。1割に嫌われても気にせず、1割好きでいてくれる人と楽しく付き合えばいいのだ。いや、むしろ自分とはまったく合わない気質の人からは明確に好かれてはいけない。

具体例をいうと自分の場合、愚痴不満悪口が多い人や、依存体質の人とは関わりたくないのだが、仮にそうした人から好かれてしまうと幸福度が大きくマイナスになる。なのでむしろ、こうした合わない人からはしっかり嫌われて距離を取ってもらわないと困ってしまう。

この本質はネットでもリアルでも同じだ。できるだけマナーを遵守し、堂々と振る舞ってその上で合わないという人がいるなら気にする必要はない。合わない人とも無理に付き合わなければいけない法律はない。会話してお互い合わなければno deal、その後は双方が関わらなければいいだけだ。最初からそう割り切れば、初対面の会話など何も怖くはない。

4. タブーな話題を言わない

最後は話題に気をつける。基本的に人によって意見が分かれる話題、嫉妬を買う話題は出さない方が良い。たとえば政治経済や収入、ジェンダー問題や宗教などである。

こうした話題は下手に出すと、反発を買いそこからお互いに応酬が始まる。表面的に勃発せずとも、実は内心相手の反感を買って「あの人って実は…」と余計な陰口を買うことになる。初対面の会話で大事なのは無駄に敵意を持たれないことだ。だから話題は突飛なものではなく、あくまで無難でいい。

初対面の会話は、何も技術を持たず場数だけ経験してもあまり上達しない。今回シェアした4つのコツを持って会話の場数を踏めばだんだん解法が見えてくる。そうすれば億劫になることもなく気軽に参加できるようになるだろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。