再開発でつまらなくなっていく東京

東京ではあちこちで再開発が急ピッチで進んでいます。最近出かけた虎ノ門から神谷町にかけてのエリアでも、森ビルが虎ノ門ヒルズに続き、麻布台ヒルズを開発。一体が様変わりしています。

虎ノ門周辺では、さらに駅前の再開発も予定されており、高層ビルだらけの街に変貌しそうです(写真)。

新しくできた麻布台ヒルズに久しぶりに行ってみましたが、夜だったせいか開業当初の賑わいは消え、人出が少なく寂れた印象を受けました。周辺にお店が少なく、街全体の活気が感じられないのです。

古くからの街が再開発されると、老舗のお店が消えていったり、新しいビルの中にテナントとして吸収されてしまいます。

せっかくの味わいのある建物や、風情のある店内の雰囲気がなくなってしまい、画一化された味気ないお店に変わってしまいます。

そして、どこの商業施設に行っても、テナントとして入っているのは、大手の飲食チェーンばかりです。

差別化するために、東京初出店と銘打って地方の有名店を東京に誘致する場合もありますが、価格は割高で本店と同様に魅力的なものはあまり多くありません。

今後再開発がさらに進み画一化が進んでいくと、それぞれの街の特色がどんどん消えていきます。下町に見られるような風情のある街並みがなくなれば、東京の魅力が失われていきます。

時代の最先端のお店から、路地裏にあるずっと変わらないお店まで、様々なものが雑然と混在しているのが東京の魅力です。

再開発によって、東京がどんどんつまらない街になっていく気がして残念です。

Juergen Sack/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年10月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。