うつ病と戦うための実践ガイド

Lidiia Moor/iStock

うつ病で闘病中のデラさんが執筆した本が発売されました。

この本から、うつ病になったときの注意点や対処法を読み解きます。

うつ病で20代全部詰んでたボクが回復するまでにやったこと」(デラさん著 サンクチュアリ出版)

[本書の評価]★★★★(80点)

【評価のレべリング】※ 標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★  「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★   「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★    「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満

うつ病を発症したらどうする

現在、うつ病で闘病中のデラさんがウェブマガジンで連載していた内容をまとめた本が発売されました。この本には、うつの「底」から抜け出すためにデラさんが行ったすべてのことが紹介されています。

一度うつ病を発症すると、社会復帰は非常に険しい道のりになります。最大の要因は「回復が追い付かない」ことです。多くのうつ病患者が「疲労」に負けているとデラさんは言います。その結果、再発や体調不良が多いのです。

「取り組むべきミッションは『休みの日に回復する量を多くする』ことです。働く日数を減らし、休む日数を増やすのがおすすめです。回復時間が増えれば回復の確率も上がります。そして、仕事への取り組み方を変える必要があります。」(デラさん)

デラさんは、仕事の優先順位を考えることの重要性を説いています。たとえば「ゴミを捨てる」という仕事があった場合、120%の力で3分で終わるよりも、30%の力で4分で終わるほうを選ぶべきだと言います。このような仕事にはフルパワーを注ぐ必要はないという考え方です。

「うつ病になりやすい人は、どんな場面でも全力を出してしまいがちです。これでは、週末の休息だけでは回復が追いつきません。ミスをしてはいけないときは120%の全集中で取り組むべきですが、それ以外の場面ではリラックスモードで流すことが重要です。」(デラさん)

流行の常識を疑うこと

精神科医やメンタル系の発信者が提唱する朝散歩についても、デラさんは自分に合った方法を見つけることの重要性を強調します。「太陽を浴びるとセロトニンが分泌され、心が安定する」といった話はよく聞きますが、デラさん自身は夜型であり、夜に執筆するほうがはかどると言います。

「うつ病の人の活動エネルギーが100だとすると、消費エネルギーは1万にもなるイメージです。朝散歩で活動エネルギーを増やしても効果は薄いです。まずは消費エネルギーを減らすことが大事です。」(デラさん)

自殺未遂で死に切れなかった4年前、うつの底にいたデラさんは「いったん死んだ自分だから、残りの人生は“おまけ”」だと言います。

うつから抜け出すための思考法や生活習慣について、経験者だからこそのリアルな視点で書かれた本書は、多くの人に生きるヒントを提供します。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)